5/15 入管法改正案 修正協議で与野党決裂 衆院法務委員長の“解任決議案”提出
国会で審議中の外国人の強制送還などに関する入管法をめぐって、与野党の修正協議が決裂し、対立が激しくなっている。
改正案をめぐって、14日、与野党が断続的に修正協議を続けたが、野党側が求めていた収容中に亡くなったスリランカ人女性の監視カメラ映像の公開を与党側が譲らず決裂した。
さらに、与党側が法案の採決を提案したため、立憲民主党など野党は、これを阻止するために、衆議院の法務委員長の解任決議案を提出した。
立憲民主・安住国対委員長「採決阻止するために、ありとあらゆる行動をとっていきたい」
与党は来週、決議案を否決したうえで、入管法改正案の採決を行う方針だが、野党は徹底抗戦する構え。
TBSニュース【独自】スリランカ人女性死亡 「なぜ娘は死んだのか」
日本語を学ぶため来日したスリランカ人の女性。先月、名古屋出入管で収容中に死亡しました。遺族が初めて取材に応じ、「娘は点滴をしてほしいと訴えたのに受けられずに亡くなった」と、入管の対応を強く非難し、真相究明を訴えました。
「わたし12.5キロぐらいやせています。いま、たべたいです」
平仮名でつづられた悲痛な訴え。これは先月、名古屋入管で収容中に死亡したスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(33)が支援者に書いた手紙です。
「私全然大丈夫じゃないです。困らせたくないから言いたくなかったけど、誰も助けてくれないから言いました」
「上が6階で下が5階。女の人は5階に収容されている」(「外国人労働者・難民と共に歩む会」 松井保憲さん)
外国人支援団体の松井保憲さんは、ウィシュマさんが亡くなる直前まで面会を重ねていました。
ウィシュマさんは4年前、日本語を学ぶ目的で来日しましたが、ビザが失効したため去年8月から名古屋入管に収容されていました。そうしたなか、今年に入って目に見えて体調が悪化していたといいます。
「食欲が半減するというかしびれが出てきて、1月末にはもどす、嘔吐を繰り返すような状態。面会を重ねるごとに衰弱していくような。1月28日の夜は吐血してしまった」(ウィシュマさんと面会していた 松井保憲さん)
嘔吐を繰り返し、食べることも薬を飲むことも難しくなってしまったウィシュマさん。面会した松井さんに「点滴を受けたい」と訴えたといいます。
「2月10日面会記録で『セーライン(シンハラ語で点滴)』を打って欲しいと本人が発音していて、私は意味が分からなくて聞き直して、それで『点滴』だとジェスチャーしてくれて分かった」(ウィシュマさんと面会していた 松井保憲さん)
松井さんは入管にすぐにでも点滴をするよう繰り返し訴えました。しかし、ウィシュマさんが点滴を受けることは1度もなく、衰弱がひどくなっていきました。松井さんは、亡くなる3日前、車いすでの最後の面会が忘れられないといいます。
「面会室に来た時、左手で右手をもって自分の膝の上に置きましたね。右手が動かないんだなと。口から泡を吹いてるような。まともに顔を見ていられない状況。『(入管から)連れて帰って』と言ってそのまま車いす押されて、収容されている部屋に戻りました」(ウィシュマさんと面会していた 松井保憲さん)
なぜ入管はウィシュマさんに点滴を受けさせなかったのか。出入国在留管理庁は先週、中間報告書の中で、「本人や医師から点滴の求めはなく、適切に治療していた」と公表。両者の主張は食い違っています。そうしたなか今回、本国にいるウィシュマさんの遺族が初めて取材に応じました。
「こんなことになるなんて信じられない。あの子は元気な子でした。どう考えても信じることが出来ません」(ウィシュマさんの母親 スリヤラタさん)
今回、初めて取材に応じた名古屋入管で死亡した、スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんの遺族。ウィシュマさんは早くに父親を亡くし、スリランカで母親と2人の妹の4人家族で生活をしてきたといいます。
「これは私達姉妹3人の部屋です。これは姉が描いた絵です。これも姉が描いた絵です」
絵を描くことが得意だったウィシュマさん。スリランカでは学校の教師をしていて、日本でも子どもたちに英語を教えることを目指していました。
「あの子は外国に行くことが大好きで、3~4か国語を話したり書いたりできました。手紙も様々な言葉で書いていました。いつか日本に行くと信じ、頑張っていて、自分の夢を実現しました」(ウィシュマさんの母親 スリヤラタさん)
そうした中で、突然知らされた娘の死。遺族は「娘が点滴をしてほしいと訴えたのに、なぜ対応してくれなかったのか」と入管の対応に強く疑問を持っていると話します。
「病院に連れていくようあの子はお願いしていた。点滴してほしいとノートに書いていました」(ウィシュマさんの母親 スリヤラタさん)
「薬飲めないのだから点滴をすべきだったんです」
「人生は一度だけです。亡くなったら、それで終わりです。亡くなる前に入院するべきでした。病院に連れて行って欲しかった。何とか助けて欲しかった」(ウィシュマさんの母親 スリヤラタさん)
さらに、死後1か月以上が経つ今も死因がわからないとする入管側の説明については・・・
「私は分かっています。報告が遅いのは、あの人たちが何かを隠しているからです。言えないことがあって、正しい情報を伝えられないのです。あの子は日本のことが大好きでみんなに優しく助けを差し伸べる子でした。そんな子が死ぬ前に『私のことを誰も助けてくれない』と考えていたかと思うと、本当に私は胸が苦しいです・・・」(ウィシュマさんの母親 スリヤラタさん)
政府は長期収容者の問題に対処するために、入管法の改正案を今国会に提出していますが、支援者などからは「強制送還ありきの内容で人権をないがしろにしてきた処遇の改善になっていない」などと批判が出ています。(14日23:50)