なにしろですね、5時間半もある超ロングインタビューなので、とても一度に見ることはできません。
数回に分けて視聴します。
IWJの岩上さん、いつもタイムリーに素晴らしいゲストを招いてインタビューして下さるのはありがたい。
私は、IWJの長年の読者・視聴者で、すっと応援してきたし、これからも同じだ。
けれども、言いたい。
岩上さん、はっきり言って、いつも喋りすぎ!
ゲストの話をもっとゆっくり、しっかりと聞きたいのにという不満は以前からありました。
長年のお付き合いの父のような孫崎先生だから、ちゃんと叱責して下さるのです。
ビシッと「ちょっと聞きなさい!」バシッと「私の話の腰を折らないで!」と。
最後には、席を立とうとなさった。当然です。
本当によく言って下さった。
もしかして、この時、岩上さん酔ってました? 息が荒く、ちょっと呂律も回っていないところもあったような。叱られた後、先生が真剣に話されている最中に、ムシャムシャとモノを食べる音も。
経営の苦労も多くストレスを溜めているのかもしれないけれど、ちょっと目に余る。
数ヶ月前、楽しみにしていた哲学者の鵜飼哲先生のインタビューの時には、岩上さんが喋り通しで、さすがに唖然とした。そして、悲しくなった。
待てども待てども、鵜飼先生のお話が聞けない。
2時間半ほどの鵜飼先生のインタビューのうち、2時間以上は岩上さんが喋り、鵜飼先生が相槌を打っていたのだから。
せっかく鵜飼先生を招いておいて、なぜ岩上さんのご高説を鵜飼先生が聞かせられねばならないのか?
「岩上さんの話が長すぎる」というクレームは視聴者からも多いらしいが、この時ばかりは、画面の前で「黙りなさい!」と言いたくなってしまったのですよ。
【冒頭オープン 9/14 16:00~】岩上安身による 元外務省国際情報局長孫崎享氏インタビュー
新著「同盟は家臣ではない」アメリカの没落
・孫崎先生は新著「同盟は家臣ではない」を出版した。
今、時代が変わってきている。日本にいるとG7が世界を支配しているかのように思えるが、購買力平価ベースで見るとGDPの合計は、G7の合計より、BRICSのほうが大きい。グローバルサウス、BRICS5カ国(中国、ロシア、インド、ブラジル、南ア)+アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)が参加する。他に40〜70ヵ国が申請している。
・G7の中でも「アメリカに従えばそれで良いという事ではない」と主張する政治家が評価されるようになってきた。
・新著のタイトルは、フランスのマクロン首相の言葉。アメリカは同盟国であってもフランスはアメリカの家来ではないと言ったのだ。
・元仏大統領のサルコジも8月のル・フィガロとのインタビューでウクライナは「中立」であり、NATOやEUに加盟すべきではなく、フランスとロシアは「お互いが必要」であり、マクロンはプーチンとの「対話を更新」すべきだと述べた。ウクライナにクリミアのロシア占領と他の争われた領土を受け入れるよう求め、それが戦争の「外交的出口」を提示していると主張。
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・タイトルは出版社の社長が提案してくれたもので、これは売れると思った。新著が大きなヒットになっていない。その理由はタイトルにある「家臣」は日本人にとってマイナス評価ではない。むしろ「日本人は家臣になりたい国民」なのだ。サムライジャパンというが、侍は、死ねと言われれば死ぬ。殺せと言えば殺す。
G20の勝利 G7も従った「デリー宣言」
・9月9日に開催された「デリーG20サミット」でも流れが変わった。
「広島G7サミット」では、最大級の言葉でロシアを批判したが、デリーでは多くの問題でロシア批判がなくなった。デリー宣言の「ウクライナにおける戦争‘war in' Ukraine」を「ウクライナに対する戦争 ‘war against' Ukraine」にすべきだとウクライナ側は不満を呈するなどした。
しかしその主張は、G20では採択されなかった。
・「G7の主張が世界の共通価値観である」という時代は終わった。
多くの国々は、もう懲り懲りだということ。
G20: From ‘war against' to ‘war in' Ukraine, Delhi declaration softens language on Russia-Ukraine conflict
Calling the new declaration at New Delhi's G20 summit under India's presidency "nothing to be proud of", Ukraine expressed unhappiness at no mention of Russia
https://www.nationalheraldindia.com/international/from-war-against-ukraine-to-war-in-ukraine-delhi-declaration-softens-language-on-ukraine-conflict
↪︎(抜粋して和訳)
"ロシアとの対立を示す「ウクライナにおける戦争」に言及していることにも注目した。昨年の宣言では、「ウクライナに対する戦争」を非難し、それがロシアによって引き起こされたことを暗示していた。
ウクライナ外務省のオレグ・ニコレンコ報道官は、G20宣言の該当部分のスクリーンショットを投稿し、文章のいくつかの部分を赤字で削除し、ウクライナが望ましいと考える正直な真実に表現を’修正’した。
ウクライナは宣言文に完全に満足したわけではないが、支持してくれた国々に感謝し、より強い文言を文書に盛り込もうとした。
ちなみに、対ロシア制裁が実施されているにもかかわらず、G7諸国とEUもバリ宣言での発言に比べ、表現を軟化させているようだ。"
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・ウクライナのドンバス地方では8年間のロシア語話者のウクライナ人を政府と国軍と警察とネオナチで虐殺し続けていた8年間がある。そのような他国の紛争に介入することはアメリカは散々やってきた。
松村昌廣教授(桃山学院大)は、その介入は国際法で許されているという。ウクライナ戦争は結果で、ドンバス紛争は理由であり、結果だけを言い立てるのはおかしいとのこと。
国際社会から外される みそっかす「日本」 知らされなかった日本の外務省
・インドのモディ首相の宣言が固まったとき、そのことを日本の外務省は知らなかった。
・日本の代表団は、完全に外されていた。G7を含むG20内で、宣言の内容に関する議論攻防が行われる中で、日本はどうせG7追従でしかないということで、外されていたのだ。
・前日には、両者の対立が極めて厳しいので、最終文書がまとまらないかもしれないというところが、一日中にまとまり出してきた。その時に外務省はブリーフィングをやっていて、突然その情報が入ってきて仰天する。外務省はその時点で「何も知らなかった」のである。
・日本は完全に国際社会から外されている。
・G 20の前にあったBRICSの会議で、ロシアのラブロフ外務相が「日本という国は、自分の価値観を表現できる国ではない」と述べた。「単にアメリカの言い分に追随する国だから日本の言い分を聞く必要がない」ということを言ったのだ。
(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ(BRICS)の5カ国は8月22~24日、南アフリカのヨハネスブルクで15回目の首脳会談を開催した。https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230926/se1/00m/020/042000c)
・BRICSの中でラブロフ発言の考えが広まり、それがG20でそのまま実行された形である。
・日本は日米合同委員会で命令されたり、様々な構造改革のために各省庁がアメリカとの連絡組織ができている。高官や主要政治家は、大使とかではない、アメリカのすぐに会えるコンサルという肩書きの人間を持っている。それは、CIAである。
(1:29:00〜 つづく)
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『同盟は家臣ではない──日本独自の安全保障について』
青灯社 (2023/8/24) 孫崎 享 (著)
これまでの日本外交・安全保障政策は、「米国を喜ばすため」だった。
今こそ日本針路の羅針盤を──
・欧州、イスラム圏では「米国離れ」が加速している。
・「米軍が日本を守る」は幻想だ。
中国、ロシア、北朝鮮とは外交努力をすれば、武力攻撃を受けない。
[日本独自の安全保障政策のために]
・「核の傘はない」と思い知るべきである。
・「敵基地攻撃」論は相手国の圧倒的反撃能力と10倍返しを考慮したら成り立たない。
・台湾有事なら、沖縄や本土の基地、市街地が中国によって攻撃される可能性がある。
・ロシアには、「自分たちが脅かされている」と感じさせなければ、日本を軍事的に攻撃することはない。
・「北朝鮮の国家や指導者を排除する軍事行動に参画しない」と言えば、北朝鮮の軍事的脅威はなくなる。
・中国との台湾、尖閣問題は、過去の合意を守っていけば軍事紛争にはならない。
孫崎 享 (まごさき・うける)
1943年、旧満州生まれ。〈br〉東京大学法学部を中退後、外務省に入省。
英国、ソ連、イラク、カナダに駐在。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大学校教授などを歴任。現在、東アジア共同体研究所所長。〈br〉主な著書『戦後史の正体』(22万部のベストセラー。創元社)、『日本外交 現場からの証言』(山本七平賞受賞。中公新書)、『日米同盟の正体』(講談社現代新書)、『日米開戦の正体』『朝鮮戦争の正体』(祥伝社)、『アメリカに潰された政治家たち』河出書房新社)、『平和を創る道の探求』(かもがわ出版)ほか。
数回に分けて視聴します。
IWJの岩上さん、いつもタイムリーに素晴らしいゲストを招いてインタビューして下さるのはありがたい。
私は、IWJの長年の読者・視聴者で、すっと応援してきたし、これからも同じだ。
けれども、言いたい。
岩上さん、はっきり言って、いつも喋りすぎ!
ゲストの話をもっとゆっくり、しっかりと聞きたいのにという不満は以前からありました。
長年のお付き合いの父のような孫崎先生だから、ちゃんと叱責して下さるのです。
ビシッと「ちょっと聞きなさい!」バシッと「私の話の腰を折らないで!」と。
最後には、席を立とうとなさった。当然です。
本当によく言って下さった。
もしかして、この時、岩上さん酔ってました? 息が荒く、ちょっと呂律も回っていないところもあったような。叱られた後、先生が真剣に話されている最中に、ムシャムシャとモノを食べる音も。
経営の苦労も多くストレスを溜めているのかもしれないけれど、ちょっと目に余る。
数ヶ月前、楽しみにしていた哲学者の鵜飼哲先生のインタビューの時には、岩上さんが喋り通しで、さすがに唖然とした。そして、悲しくなった。
待てども待てども、鵜飼先生のお話が聞けない。
2時間半ほどの鵜飼先生のインタビューのうち、2時間以上は岩上さんが喋り、鵜飼先生が相槌を打っていたのだから。
せっかく鵜飼先生を招いておいて、なぜ岩上さんのご高説を鵜飼先生が聞かせられねばならないのか?
「岩上さんの話が長すぎる」というクレームは視聴者からも多いらしいが、この時ばかりは、画面の前で「黙りなさい!」と言いたくなってしまったのですよ。
【冒頭オープン 9/14 16:00~】岩上安身による 元外務省国際情報局長孫崎享氏インタビュー
新著「同盟は家臣ではない」アメリカの没落
・孫崎先生は新著「同盟は家臣ではない」を出版した。
今、時代が変わってきている。日本にいるとG7が世界を支配しているかのように思えるが、購買力平価ベースで見るとGDPの合計は、G7の合計より、BRICSのほうが大きい。グローバルサウス、BRICS5カ国(中国、ロシア、インド、ブラジル、南ア)+アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)が参加する。他に40〜70ヵ国が申請している。
・G7の中でも「アメリカに従えばそれで良いという事ではない」と主張する政治家が評価されるようになってきた。
・新著のタイトルは、フランスのマクロン首相の言葉。アメリカは同盟国であってもフランスはアメリカの家来ではないと言ったのだ。
・元仏大統領のサルコジも8月のル・フィガロとのインタビューでウクライナは「中立」であり、NATOやEUに加盟すべきではなく、フランスとロシアは「お互いが必要」であり、マクロンはプーチンとの「対話を更新」すべきだと述べた。ウクライナにクリミアのロシア占領と他の争われた領土を受け入れるよう求め、それが戦争の「外交的出口」を提示していると主張。

・タイトルは出版社の社長が提案してくれたもので、これは売れると思った。新著が大きなヒットになっていない。その理由はタイトルにある「家臣」は日本人にとってマイナス評価ではない。むしろ「日本人は家臣になりたい国民」なのだ。サムライジャパンというが、侍は、死ねと言われれば死ぬ。殺せと言えば殺す。
G20の勝利 G7も従った「デリー宣言」
・9月9日に開催された「デリーG20サミット」でも流れが変わった。
「広島G7サミット」では、最大級の言葉でロシアを批判したが、デリーでは多くの問題でロシア批判がなくなった。デリー宣言の「ウクライナにおける戦争‘war in' Ukraine」を「ウクライナに対する戦争 ‘war against' Ukraine」にすべきだとウクライナ側は不満を呈するなどした。
しかしその主張は、G20では採択されなかった。
・「G7の主張が世界の共通価値観である」という時代は終わった。
多くの国々は、もう懲り懲りだということ。
G20: From ‘war against' to ‘war in' Ukraine, Delhi declaration softens language on Russia-Ukraine conflict
Calling the new declaration at New Delhi's G20 summit under India's presidency "nothing to be proud of", Ukraine expressed unhappiness at no mention of Russia
https://www.nationalheraldindia.com/international/from-war-against-ukraine-to-war-in-ukraine-delhi-declaration-softens-language-on-ukraine-conflict
↪︎(抜粋して和訳)
"ロシアとの対立を示す「ウクライナにおける戦争」に言及していることにも注目した。昨年の宣言では、「ウクライナに対する戦争」を非難し、それがロシアによって引き起こされたことを暗示していた。
ウクライナ外務省のオレグ・ニコレンコ報道官は、G20宣言の該当部分のスクリーンショットを投稿し、文章のいくつかの部分を赤字で削除し、ウクライナが望ましいと考える正直な真実に表現を’修正’した。
ウクライナは宣言文に完全に満足したわけではないが、支持してくれた国々に感謝し、より強い文言を文書に盛り込もうとした。
ちなみに、対ロシア制裁が実施されているにもかかわらず、G7諸国とEUもバリ宣言での発言に比べ、表現を軟化させているようだ。"

・ウクライナのドンバス地方では8年間のロシア語話者のウクライナ人を政府と国軍と警察とネオナチで虐殺し続けていた8年間がある。そのような他国の紛争に介入することはアメリカは散々やってきた。
松村昌廣教授(桃山学院大)は、その介入は国際法で許されているという。ウクライナ戦争は結果で、ドンバス紛争は理由であり、結果だけを言い立てるのはおかしいとのこと。
国際社会から外される みそっかす「日本」 知らされなかった日本の外務省
・インドのモディ首相の宣言が固まったとき、そのことを日本の外務省は知らなかった。
・日本の代表団は、完全に外されていた。G7を含むG20内で、宣言の内容に関する議論攻防が行われる中で、日本はどうせG7追従でしかないということで、外されていたのだ。
・前日には、両者の対立が極めて厳しいので、最終文書がまとまらないかもしれないというところが、一日中にまとまり出してきた。その時に外務省はブリーフィングをやっていて、突然その情報が入ってきて仰天する。外務省はその時点で「何も知らなかった」のである。
・日本は完全に国際社会から外されている。
・G 20の前にあったBRICSの会議で、ロシアのラブロフ外務相が「日本という国は、自分の価値観を表現できる国ではない」と述べた。「単にアメリカの言い分に追随する国だから日本の言い分を聞く必要がない」ということを言ったのだ。
(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ(BRICS)の5カ国は8月22~24日、南アフリカのヨハネスブルクで15回目の首脳会談を開催した。https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230926/se1/00m/020/042000c)
・BRICSの中でラブロフ発言の考えが広まり、それがG20でそのまま実行された形である。
・日本は日米合同委員会で命令されたり、様々な構造改革のために各省庁がアメリカとの連絡組織ができている。高官や主要政治家は、大使とかではない、アメリカのすぐに会えるコンサルという肩書きの人間を持っている。それは、CIAである。
(1:29:00〜 つづく)
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『同盟は家臣ではない──日本独自の安全保障について』
青灯社 (2023/8/24) 孫崎 享 (著)
これまでの日本外交・安全保障政策は、「米国を喜ばすため」だった。
今こそ日本針路の羅針盤を──
・欧州、イスラム圏では「米国離れ」が加速している。
・「米軍が日本を守る」は幻想だ。
中国、ロシア、北朝鮮とは外交努力をすれば、武力攻撃を受けない。
[日本独自の安全保障政策のために]
・「核の傘はない」と思い知るべきである。
・「敵基地攻撃」論は相手国の圧倒的反撃能力と10倍返しを考慮したら成り立たない。
・台湾有事なら、沖縄や本土の基地、市街地が中国によって攻撃される可能性がある。
・ロシアには、「自分たちが脅かされている」と感じさせなければ、日本を軍事的に攻撃することはない。
・「北朝鮮の国家や指導者を排除する軍事行動に参画しない」と言えば、北朝鮮の軍事的脅威はなくなる。
・中国との台湾、尖閣問題は、過去の合意を守っていけば軍事紛争にはならない。
孫崎 享 (まごさき・うける)
1943年、旧満州生まれ。〈br〉東京大学法学部を中退後、外務省に入省。
英国、ソ連、イラク、カナダに駐在。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大学校教授などを歴任。現在、東アジア共同体研究所所長。〈br〉主な著書『戦後史の正体』(22万部のベストセラー。創元社)、『日本外交 現場からの証言』(山本七平賞受賞。中公新書)、『日米同盟の正体』(講談社現代新書)、『日米開戦の正体』『朝鮮戦争の正体』(祥伝社)、『アメリカに潰された政治家たち』河出書房新社)、『平和を創る道の探求』(かもがわ出版)ほか。