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【金子勝✖️児玉龍彦】迫りくるカタストロフ

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『現代カタストロフ論: 経済と生命の周期を解き明かす』
(岩波新書 新赤版 1953) 新書 – 2022/12/22
金子 勝 (著), 児玉 龍彦 (著)

コロナ禍の中で見えてきたのは、「周期的な破綻(カタストロフ)」という問題である。
経済学と生命科学が専門である著者たちは、現在が50年周期の大転換点にある、とする。
現代化したカタストロフ論の視点から、日本と世界が陥っている現状を経済と生命の両面から解き明かし、迫りくるカタストロフへの具体的対処法を示す。


失敗続きのコロナ・経済対策 
迫る“カタストロフ”に私たちはどう向き合うか
金子勝✖️児玉龍彦

2023.02.21. 20:00〜 LIVE
今週のゲストは…
金子勝さん(立教大学特任教授)
児玉龍彦さん(東京大学名誉教授)

望月衣塑子(Arc Times キャスター/ 東京新聞記者)
尾形聡彦(Arc Times 編集長)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

児玉龍彦先生は、B型肝炎、コレステロールの研究をスタチンという薬を開発する遠藤章先生のプロジェクトに入った。スタチン開発が中止になったため米国MITに移り、コレステロールが溜まることに関わる遺伝子をcloningしていた。J1ビザが切れて帰国するとき、最後に取っていた遺伝子を読んでいたらそれが当たりで、Natureの表紙になった。その後東大教授になりコレステロール関連の薬の開発に成功。
2004年からは給料は税金から一円ももらわず納税しているので、原発事故の時もコロナでも言いたいことが言える。

  ※遠藤章
  コレステロールを下げる薬スタチンを開発。
  スタチンは心筋梗塞と脳卒中の予防のために、世界で毎日約4000万人に投与され、
  ペニシリンと並ぶ奇跡の薬と呼ばれる。
  1985年にノーベル生理学・医学賞を受賞した米国のマイケル・ブラウン、
  ジョーゼフ・ゴールドスタインによるコレステロール代謝の研究にも大きく貢献した。
  ブラウンとゴールドスタインは遠藤の日本国際賞受賞に際して
  お祝いのビデオメッセージを寄せている。
  2012年3月1日、全米発明家殿堂(英語: National Inventors Hall of Fame)は、
  遠藤が日本人初の「発明家の殿堂」入りすると発表した。



児玉先生は、金子先生とは社会と自然科学の話をしてきた。
金子氏は「制御の束」というのが本質だと言う。児玉氏も「多重的フィードバック」が重要だとして、「システム生物医学ラボ」を作った。

今回、コロナの話で一番大きいのは、「生物の進化を試験管の中ではなくリアルワールドで見ている」ということ。
コロナが、どのように変わるのかというのをリアルタイムで見ている。
コロナは8回の波が来ているが、
❶〔第1の武漢型から、欧米型、東京埼玉型〕といわれる最初のいくつかの波は、いわゆる「Eigen(アイゲン)の限界(Eigenの提唱した「エラーカタストロフ」の限界があることが理論)」のルールに従っている。
ところが、❷〔variant of concern(懸念される変異株)といわれる、アルファー、ベーター、ガンマ、デルタ〕は、免疫不全の人の中でできたものがわっと増えている。
そして、今の❸〔BA亜種、オミクロンから出ているもの〕は、組み換えみたいなもので、ワクチンや抗体の治療に抵抗性のものが広まっている。

つまり、ウイルスの進化のメカニズムが変わっている。
それによって対応も変えねばならない。
進化し変わっている相手に、「2類か、5類か」などと同じものを当てはめているので、すっかり時代遅れになってしまっている。

日本で驚くのは、分子遺伝学やウイルス学の専門家ではなく、行政官で、論文発表が全くない人物が「分科会」の会長になっており、間違いでらけのことを言い続けている。(尾身氏のことである。)

一番最初に、PCR検査をやろうと言い出した時に、橋下徹が突然出てきて「PCR検査を増やしちゃいけない」と言った。
クルーズ船が来て、3000人分のPCRが、国立の研究所(感染研)でできない」ということにびっくりした。
先端研では、ロボットで日常的にそんな数が当たり前にできるものなのである。
ところが、厚生技官らは「できない」、「PCRは偽陰性、偽陽性が多い」などと言い出した。
これは、全くの嘘である。普通の情報理論でいけば、偽陰性、偽陽性というのは陰性コントロールと陽性コントロールを入れておけば直ぐ分かるのが当たり前なので、PCR検査は普段から一杯やっている。
厚生技官らの嘘に迎合し、橋下氏も全くの嘘を言い出した。

尾形氏は、当時、アメリカから日本の報道を見ていた。
「PCR検査をしない方がいい」と言ったのは、日本だけで、その理由は(YahooのBuzzFeed)「PCR検査をして陽性が沢山出ると人がたくさん病院に押しかけて医療崩壊するからダメだ」というおかしな論だった。
尚且つ、「PCRの偽陽性が出る」などというが、PCRというのは増幅するのであるから、無いものは増幅されないわけだから、偽陽性が出るとしたら検体が汚れているとしか言えないわけである。(児玉氏、「その通りです」)
そんなことを、日本の医者とか、学者とか、官僚が、みんなで言って、メディアが書いていることが信じられなかった。

それは「よくある現象である」と児玉氏。
専門家の会議に「専門家と行政官は絶対一緒にしてはいけない」
行政官が失敗すると言い訳を始める。
行政官から予算をもらっている専門家の中にはそれに迎合する意見を言い出す者がかなりいる。
ところが、尾身氏は「学者ではない」。感染症の論文など1本もない。
児玉氏は、コロナが始まってから14本の査読付きの論文を出しているが、尾身氏の科学論文など見たことがない。
児玉氏は、2020年にBIO JAPANで「PCRの精度を上げるシンポジウム」を主催した。記者がきて、「今、別の会場で、尾身さんが、”無症状の人にPCR検査をやっても意味がない”という講演をやっていますが、どう思われますか?」と聞かれたという。

「日本の先端産業の衰退」というのは、非常に、ここと結びついている。
「なぜ、先端的な産業とか科学技術で、専門家の議論が大事か」というと、最初の新しい理論は、「少数意見」である。
「少数意見」のデーターやエビデンスが出されて、それを検証して、「多数」になっていく。
だから、専門家以外のノイズを入れてはいけない。
「学術会議」が大事だというのはそういうこと。専門家が自律的に検証し、行政官を一緒にしてはいけない。
政治的な思惑が入ってくると、どんどんおかしくなってしまう。
対象によっては、「フィードバックをお金で掛けてはいけない」領域がある。
医療が最もそうである。アメリカは、医療費をかけても寿命も伸びないし良くならない。
フィンランドは小さい国だが、5つの医科大学があって、EU圏の人は全額タダで卒業できるから、科学技術も非常に高いし、安定的な成長を遂げている。

ところが、厚労省は、社会保障費を削減する。
だから「薬も社会保障費にのせてはいけない」「検査も社会保障費にのせてはいけない」となる。
しかし、社会保障費というのは、「必要なら皆がかけていく」という金なので、キューバでもどこでも、医療は安定的な産業だから経済が苦しくても成り立つわけである。

「お金でフィードバックをかけて一番失敗している」のが、大阪と北海道。
大阪は「身を切る改革」と言って色々やっているが、有名なのは、「錦秀会」という医療法人がある。
(金子氏「日大病院の時に出てきた人ですね」日大背任事件https://diamond.jp/articles/-/285067 )
そこは、生活保護の人を集めたり、系列の精神科の病院で(虐待)事件が起こって医院長が謝罪している。
老健施設が儲かるというので始めたら、介護費が削られてくると儲からなくなって、日大の不正事件に関わってしまうというのが、「錦秀会」。
北海道も、医療機関を合理化することをかなりやった。

「身を切る改革」を行なってきた大阪と北海道は、コロナで、ダントツの死亡率。
ダントツの死亡率の大阪の大阪維新の理論的リーダーである橋下氏は、口を極めて、「世田谷区のPCR検査拡充」を攻撃した。
維新の人は、個人攻撃に近いようなことまでやっている。

尾形氏はメディアの問題も指摘。「大阪の死亡率は全国平均の2倍」であることをちゃんと書かない。

2020年6月から、維新は、「大阪ワクチン(アンジェス)」を作ると言い出して、金をかけた。
専門家から見れば、「DNAワクチンを感染症に使う」ということは「奇想天外」である。
mRNAワクチンが、なぜ出てきたのか?ということを全く考えていない。
DNAの直接投与は、昔から遺伝子治療として行われたけれども、遺伝子組み換えで、”癌ができてしまう問題”が起こったりして慎重になって、実用性は難しいということになった。また、発現量は、mRNAと比べて、全然低い。
mRNAワクチンは、どんどん壊れてしまうから組み換えになる可能性が低い。
このような理由でmRNAワクチンの方向に動いている時に、政治が介入して、「DNAワクチンを10月から治験します。来年2021年には実用化します」と府知事がアナウンスして、府の金や影響を与えた。
「アンジェスMGには、75億円の国費が投入」されたが、ワクチン開発はできていない。
しかし、国も大阪も、二、三ヶ月前に、公然と「75億は返さなくて良い」こととなったという異常事態。
政治への忖度で、全く間違ったものに介入した。
例えば、加計学園は、国家戦略特区で、先端ライフサイエンス研究の推進や地域での感染症対策などを行うという条件で獣医学部を新設した。
しかし、今回、役に立ったという話を全く聞かない。

そのような「バイオテクノロジーの政治による歪み」の原因は、官僚のおかしな対応、政治への忖度。
そういうものによって先端産業が成り立たなくなっている。





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