暗殺から20年。
石井紘基、最期のときの国会議事録をじっくりと読んでみたいと思う。
・暗殺された年の国会
154回 常会 2002年(平成14年)1月21日招集〜7月31日
155回 臨時会2002年(平成14年)10月18日招集〜12月13日
まずは、『日本病の正体』(FNSドキュメンタリー大賞)の中で紹介された
短い石井の国会質疑の場面で使われた❶〜❹の議事録を捜し出して順番に。
石井紘基『日本病の正体』
(12:40〜)
20年後に現実のものとなった石井の予言。
情報が遮断された国は、ある日突然崩壊する。
このままでは日本も危ない。
自分がやるしかない。
2年後国会議員石井紘基が誕生。(1993年7月)
バブルが弾け、日本の経済成長神話が揺らぎ始めた時期だった。
ソ連を見た石井にしか分からない日本崩壊の予感。
石井の焦りは、行動に移された。
●石井紘基 国会質疑
❶「(政治活動費が)紐付き献金と言われる個人に環流する部分ではないか
というふうに思うわけでございます。」
❷「民間が自由に、少なくとも自由に競争できるように。」
❸「私だってこうやって政治生命かけながらやってんだからね。」
(19:11〜)
国民には見えない税金の行き先。
あるとき石井は、それが特殊法人であることに気づく。
会計検査院が調べねばならない団体はいくつあるのか。
この質問がのちの特殊法人改革の出発点となる。
❹「会計検査院が調べなきゃならぬ団体というものは
全体で幾つあるか、お答えをお願いします。」
《石井紘基 関連記事》
2018年08月25日(土)【16年前の預言】暗殺された石井紘基の凄まじい国会質疑 全文❗️
https://ameblo.jp/et-eo/entry-12399831701.html
2022年01月31日(月)【暗殺から20年 石井紘基の国会質疑を読む❶】政策活動費が、ひも付き献金=個人に環流する金
https://ameblo.jp/et-eo/entry-12724342389.html
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今日は、❷「民間が自由に、少なくとも自由に競争できるように。」という発言のある、「第154回国会 衆議院決算行政監視委員会第四分科会 第1号 平成14年4月8日」の議事録を読む。
暗殺の半年前、石井紘基は、特殊法人・住宅金融公庫を表面上は廃止するとして、独立行政法人などと名を変えてそのまま存続させることに強く反対していた。
特会から湯水のように金が流れる政府系の特殊法人を廃止するよう強く訴えていた。
官僚の天下り先となる特殊法人。下にはファミリー企業がぶら下がる。
崩壊したソ連に酷似するこの政治家(口利き/迂回献金)×官僚(天下り、渡り)の
官僚制社会主義システムが民間の経済活動を阻害するからだ。
しかも建前上の民営化・独立行政法人になることは、会計検査院の調査が及ばなくなり、
国会議員の国政調査権も使えなくなることを意味する。
特殊法人・住宅金融公庫2007年3月31日に表向き廃止されたが、
結局、独立行政法人・住宅金融支援機構に業務が引き継がれた。
さて、政治家の迂回献金問題も指摘していた石井紘基。
その凄まじい国会質疑の警告から時を経て、いよいよ混迷するコロナ禍の現代。
大疑獄事件となる可能性があるDappi問題が浮上した。
2021年10月6日、小西洋之議員、杉尾秀哉議員がDappiの法人などに対して
東京地裁に名誉毀損による損害賠償などで訴訟を提起。
赤旗の調べによると、Dappiを運営していたのは企業である株式会社ワンズクエスト。
自民党の事務総長の元宿仁氏の父方の親族で、同社の代表取締役(K氏)は、
元宿氏の郷里の群馬県に建物を新築したが、
その抵当権者は、独立行政法人・住宅金融支援機構だった。
その取扱店は、りそな銀行衆議院支店だった。
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❷第154回国会 衆議院 決算行政監視委員会第四分科会 第1号 平成14年4月8日
○御法川主査 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井紘基君。
○石井(紘)分科員 御苦労さまでございます。住宅金融公庫について、私、質問をさせていただきます。
政府の金融事業というものの中で、特に住宅金融公庫だけが特殊法人の改革の対象になったわけでございますが、これは実は政府の金融事業の大規模化ということが問題なんであって、その中で、ただ住宅金融公庫だけが改革の対象になった。私は、公庫が改革されることはいいんですが、そういう意味では非常に不満なんですけれども。
この改革の趣旨、何のために住宅金融公庫を改革するのかということについてもう一度振り返ってみたいと思いますので、この点について御答弁をお願いしたいと思います。
○三沢(真 国交省住宅局長)政府参考人 住宅金融公庫につきまして、今先生御指摘のように、昨年の特殊法人の整理合理化計画の中で、三点ほどございますが、一つは、住宅金融公庫については五年以内に廃止する。二番目に、民間住宅ローンの証券化支援に係る業務については、住宅金融公庫が先行してこれを行うとともに、公庫の廃止の際、これを行う新たな独立行政法人を設置する。それから、融資業務については、民間金融機関が円滑に業務を行っているかどうかを勘案し最終決定するという方針が示されました。
この基本的な考え方でございますけれども、住宅ローンの中でも、民間でできることは民間にゆだねていくということが基本原則だろう。そういう中で見ますと、現在、いわゆる長期固定の住宅ローンというのは、民間においては供給されがたい状況にあるということはございますけれども、ただ、これにつきましても、証券化支援ということを通じまして民間住宅ローンの長期固定のローンを伸ばしていくという方向性で、もしこれが伸びていけば、公庫の直接融資というのはそれに応じて段階的に縮小していくべきであろうという観点で、基本的な考え方は、民間にできることは民間にゆだねるという観点からこういう方針が示されたというふうに理解しています。
○石井(紘)分科員 民間でできることは民間でとおっしゃいますけれども、その言葉は実はこれまでもう十年も二十年もずっと言われてきたことなんですね。そうじゃありませんか。今まで公庫は、なぜあなたたち、やっているんですかというふうに聞きますと、民間でできないからやっているんです、こういうふうに言ってきませんでしたか。ちょっと答えてください。
○三沢政府参考人 おっしゃるとおり、今までの住宅ローンを過去にさかのぼりますと、公庫の融資の目的でございます長期固定の住宅ローンというのは、現実に民間において供給されていなかったということは事実でございます。そういう意味で、今まで公庫が住宅ローンの融資を行ってきたわけでございます。
ただ、ただいま申し上げましたように、今後の問題として、これから証券化支援というのを始めまして、それに応じて証券市場が成熟するに伴って、民間においてもそういう長期固定のローンを供給するような条件がだんだん整備されていけば民間の住宅ローンも伸びていくだろう、こういう前提のもとに、今回、こういう方針が示されたという理解でございます。
○石井(紘)分科員 それは大分違うんだと私は思いますよ。
というのは、住宅金融公庫は廃止するということを決めたわけでしょう。証券化というのはまだこれからやろうかどうかという話でしょう。それは論理的にもおかしいのですね。まだやっていないことを、やるから、そうすれば民間にもできるようになる。それは将来のことなのであって、今、住宅金融公庫は廃止になったわけですから、それじゃ説明がつかない。
そうではなくて、なぜ住宅金融公庫が廃止になったかということは、今まで民間でできることは民間でと言ってきたことが実は間違いだったんだ、民間にやらせなきゃならないことを、政府が法律をつくって予算措置をして、そしてやってきちゃったから、民間でできなくなっちゃったんだ、民間でできない状態をつくっておいて、政府でなければできないから政府がやるんだということでやってきたところに間違いがあるんだということなんですよ。
こういう金融事業、その他の投資事業もそうですが、お金を借りてきて投資をする、そしてそれを回収して返済する、こういう投資事業というものは、経済がやることなんです。行政がやることじゃないのです、基本的に。
だから、そこを率直に認めないと、この特殊法人改革というのは、大臣、スタートしていかないのですよ。こういうあいまいな形でやりますと、名称は特殊法人であれ独立行政法人であれ、必ず実体はそのまま残っていくのです。必ずそうなるのです。そこのところをはっきりしないとだめですよ。
長期固定のローンというけれども、長期固定のローンは今まで全部失敗してきたじゃありませんか、政府がやってきたのは。その都度特別損失を出して、何回出しましたか、特別損失を。そして、膨大な特別損失をずっと昨年度まで処理し続けてきたじゃないですか。政府の交付金というものを新たにつくって、補給金以外に交付金というものを、莫大なものを設定して、そしてずっと、基本的には昨年よりことしの方が、ことしより来年の方がたくさんの金をつぎ込んで、ずっとそうやってやってきたんじゃありませんか。そんなものは、市場がやっているんじゃないのだから、成り立たないのですよ。市場ではそんな二十年も三十年もの固定の金利なんということは成り立つことじゃないのですよ。
そういうことをいかにも経済的に成り立つかのごとくごまかして、そして、これまで住宅金融公庫というのを無理やり存続させてきた。その結果、戦後つくられた全住宅の三分の一以上もの融資を、ローンを、ひとり政府の機関であるところの住宅金融公庫が独占してきたということが起こって、そして、これは経済、金融に対しても大きな市場のデメリット、市場に対してこれは大きな打撃を与えてきたわけですよ。
今や金融そのものが、日本経済の中の金融部門そのものがにっちもさっちもいかなくなった。そこで、政府系の金融を見直そうじゃないかと。
私が計算したところでは、この間、本にも書いて出しましたけれども、民間の貸出高、サラ金も含めた全金融機関の貸出高の総額は五百二十・四兆円です。それに対して、公的金融機関、政府系金融機関の全貸出高は六百四十八・六兆円です。これは全部政府にいろいろな資料を出していただいて、それを集計したものですよ。
こういう状態になっているから、日本の金融が不良債権処理だなんて一生懸命やったって、あんなものは飛行機が下へ向かって一生懸命エンジンを吹かすようなものですよ。市場が破壊されているんだから、利子はつかないし、金融機関はこういう状態だからですよ。全部政府系の金融機関が仕事をやっちゃって、経済を壊している。市場のものを奪って、市場を壊してしまっている、市場経済じゃなくしてしまっているんです。日本は市場経済の国じゃなくなったんですよ。そういう状態の中で、不良債権処理だなんてばかなことを一生懸命、逆噴射をするようなことをやっている。市場じゃないところでそんなことをやっているわけですよ。だから、あらゆる問題を解決するには、政府の経済活動というものをやめなきゃいけない。その一環がこの住宅金融公庫の廃止でなきゃならないわけです。
住宅金融公庫は、私は、議事録を調べてみましたら、ちょうど五年前、平成九年の三月に、この委員会だったかあるいは建設委員会だったと思いますが、住宅金融公庫を廃止しなさい、廃止して、住宅ローンの証券化を実現し、公庫を保証機関にしなさい、そういうことを五年前に提言して、五年たってようやく、今そういう案が出てきましたよ。出てきましたけれども、中身は、先ほど申し上げましたように、これではいつまでも、ずるずるやはり政府の事業としてやっていこうということになってしまう。したがって、この内容について少しやり取りをさせていただきたいと思うのですね。
特殊法人整理合理化計画の住宅金融公庫関連部分というところでもって書いてあることを幾つか取り上げてみたいと思いますが、「融資業務については、平成十四年度から段階的に縮小するとともに、利子補給を前提としないことを原則とする。」融資業務は段階的に縮小するというのですが、縮小計画というものはあるのですか。何年間で融資業務を一切なくしてしまうとか、あるいは、なくすということはないんですか。
○扇国務大臣 事務局から答弁をいたします前に、今の石井議員のお話の中で、住宅金融公庫そのものを否定するかのごときお話がございましたけれども、私は、五年前に御指摘なすったことが現在やっとなったという、そのことに関しては否定はいたしません。前向きに、住宅金融公庫が世の中の役に立つようにと姿勢を改めることは、私は常にあってしかるべきだと思っていますから、その点はおっしゃるとおりだと思います。
戦後、今おっしゃいましたように、低所得者の人ほどマイホームを持つ夢を、普通の、通常の金融機関に行きますと、あなたはどこの会社で、どんな役で、年収幾らですかと、事細かに聞かれて、金融業界から資金の融資が受けられないという実情がございました。その中で、私どもは、金融公庫というものは、政府が、戦後今日まで千八百五十九万戸でしたか、約三割、今石井議員がおっしゃったとおりです、それだけ低所得者に対して職業も役職も年収も聞かないで、低利で借りられたということが、多くの低所得者、御存じのとおり、八百万以下の低所得者に対して金融公庫というのは八一・九%融資しているんです、普通の金融機関は、八百万以下ですと五〇%しかありません、そのように、普通の金融機関では融資できない、夢を達成できないものを、住宅金融公庫が今日まで多くの役割を果たしてきた。
ただ、現段階で、民間にできるものは民間にという小泉内閣の提案ではございますけれども、つい最近まで、長期、低利、固定の金利をするところというのは、城南金庫以下二カ所しかありませんでした。しかも城南は地域が決まっています。そして五年後に廃止すると言ってから、今金融機関では一般の金融機関が九行ぐらい、既に長期低利の商品を開発し始めました。
そのように、歴史は変わってまいりますけれども、今回五年後に廃止ということで準備しているわけですけれども、今までの住宅金融公庫の果たしてきた役割だけは、私は、戦後日本の経済あるいは国民の夢、そういうものに役立ったことだけは少しは認めていただいてもいいのではないか、そう思います。
それと改革するところは別でございますけれども、中低所得者に対する住宅金融公庫の役割というものは、私は、今日まで多くあったということだけはぜひ石井先生も御確認いただいて、今後住宅金融公庫が変わっていくということに関しては仰せのとおりでございますので、その一点だけ私から報告させていただいて、事務的に局長から答弁させます。
○石井(紘)分科員 今、そういうもとの議論に大臣が戻りましたので、その点で私も申し上げたいことがございます。
私は、当初から全く要らなかったと言ったことはありません。ただ、もう相当前から要らなくなっていたんです、これは。扇大臣も、大臣になられて、担当のところから相当いろいろとレクを受けられたか何か知らないけれども、よく勉強されたようですが。
最初は、さっき言った低所得層、最初はそうだった。これは大昔のことです。百平米以下の家を建てるときに資金を貸すということで発足したんです。特殊法人ですから、そのときに当面の期間として発足した。
ところが、そうしたものを満たして、そうした政策を満たして、本当はそこでもって終わらなきゃいけないんだけれども、どうなったかといいますと、一九七五年には、今度は、新築だけじゃなくてリフォームにもお金を貸そう。八五年になりますと、高規格住宅なんていう定義をつくり出して、そして八七年には、セカンドハウスにも貸しますよ。九四年には、床面積二百八十平米まで広げた。そしてその後は、もう無制限にしてしまった。いいですか。
そして、高度成長からバブルに来て、今度は、注文住宅であろうが、ビルであろうが、マンション経営のためのマンションであろうが、建て売り住宅、財形住宅ですよ、市街地再開発まで、みんな全部、不動産事業は今の都市基盤公団と住宅金融公庫で総ざらいしてしまうというんですね。そういうことになってきているということも、これは担当の国土交通省の人からだけじゃなくて、やはりそういう側面もよく勉強してもらわないと実態がおわかりにならないというふうに思いますね。
そこで、さっきの答弁をしてください。
○三沢政府参考人 まず、先ほどの融資業務についての段階的縮小についてのお尋ねでございます。
特殊法人整理合理化計画に基づきまして、まず、平成十四年度におきましては、今まで融資限度額につきまして、融資率でございますけれども、住宅取得価額の十割まで融資可能となっておりましたけれども、これについて見直しをいたしまして、年収八百万以下の方は八割、それから年収八百万を超える方は融資率を五割にするという見直しをする。それから、今まで経済対策で上積みされてまいりました特別割り増し融資額については、これを約半分近くに縮減する、こういうことを通じまして、事業費のおおむね約四分の一の削減等の措置を講ずるということにしております。
ただ、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、今後証券化支援を公庫が始めた場合に、民間の長期の固定のローンが今後どういう形で伸びていくかということについて、まだなかなか見通しがつかない段階でございまして、これを見きわめつつ、毎年度の予算の中で具体的にどういう形にしていくかということを決定していくというふうに考えております。
それで、いずれにいたしましても、この特殊法人の整理合理化計画の中では、五年以内に公庫を廃止というときに、その廃止の段階で、民間の融資業務が円滑に行われているかどうかを判断してその取り扱いを決定するということになっておりますので、その中で、当然、民間でどのくらい長期固定のローンが伸びてきているかということをよく見きわめていくということになろうかと思います。
○石井(紘)分科員 そこに相変わらず非常にずるい論理があるわけです。そういうふうにごまかしちゃだめですよ。私はちょっと口が悪くて申しわけないんだけれども、ごまかすことがあなた方は非常に習性として身についているという気がしてならない。いいですか。もし違っていたら議論しましょう。言えばいいんですよ、あなたの方でも。
民間で長期固定のローンが伸びていくか伸びていかないかということを見て、その上で融資業務を最終的にどうするかということを判断するんだ、一つそのことをおっしゃった。それから、融資業務そのものについては、民間金融機関が円滑に業務を行うかどうかということによって判断しよう、そういうこともおっしゃった。
これまで民間ができなかった。それは、政府が潤沢な資金を持って、しかもそれを裏づける法律をたくさん持って、長期の固定のローンができるという状態は政府しかできないということにしておいて、財投との関係でそういうことにしておいて。そうしたら、長期の固定のと、民間はできないじゃないですか。法律も財政も、そして政策も、全部が政府を支えているわけですよ。いいですか。
それで、そこのところはそのままにしておいて、政府からの金は入れないということだけですよ、違うところは。あとは法律も全部そのままですよ。財投も、名称は変わったけれども、財政融資資金ということで、今度は財投債ということですから同じですよ。いいですか。条件は全部同じ。
そこで、民間が伸びてきたらそれに応じて手を引きましょう、これは大変なごまかしじゃないですか。ごまかしですよ、それは。だめですよ、そんなこと言っていたんでは。何か言いたいことあったら言ってください。
○扇国務大臣 私は、石井先生のは逆だと思うのですね。私は、石井議員がもっと一般の皆さんの立場に立ってくだすっているんだと信じたいと思うんですね。
なぜかといいますと、住宅金融公庫が五年後廃止ということになってから、私のところへも多くの投書があったり、御説明をくださいというようなことをおっしゃいます。
それは、皆さん方が、住宅ローンを借りていたけれども、住宅ローンが五年後に廃止になったら私はどこへどう振りかわるんでしょうか、そして皆さん方が、金融機関に借りに行ったら、民間金融機関は今みんな合併したり何かして不安でしようがない、しかも条件が厳しくて貸してくれない、私たちはどこへ行けばマイホームの夢ができるんでしょうと、こうおっしゃるので、私は、住宅金融公庫があることが、政府の保証があるからみんな住宅金融公庫に借りに行くので。それと、民間の金融機関では今皆さん自身が信用していない、しかも、十年間は安いけれども十一年からどっと上がっているというようなことも、ぜひ、石井議員がおっしゃる限りは、皆さんを理解してあげて、どちらがいいかと判断できるようなところまで御議論いただければありがたいと思います。
○三沢政府参考人 民間で何で長期固定の住宅ローンが十分供給されてこなかったかという点でございますけれども、民間は、基本的には短期の資金調達で、これを三十年というような長期の運用をするということについては、非常に大きな金利リスクなり繰り上げ償還リスクをこうむるということから、一般には、やはりこれは長期固定のローンを出すことは非常に難しいと言われています。
ただ、これは証券化という形で、そういうリスクを市場に転嫁することによって可能であるということで、現実にアメリカでも、そういう市場に転嫁する形で証券化が行われまして、その結果として相当長期固定のローンが民間に出ているわけでございます。
したがいまして、今回、条件整備ということで、証券化支援業務に乗り出すということが今回の特殊法人整理合理化計画の内容でございます。
それからもう一点、公庫自身の資金調達でございますけれども、これにつきましては、財投改革の中で、市場からの自己調達という観点から、公庫自身もいわゆる財投機関債を相当大きく伸ばしておりまして、今年度は昨年度の約三倍の六千億発行するということで、資金調達についても多様化を図っているということでございます。
○石井(紘)分科員 まず、住公が融資をやめて、そして今まで住公が持っていたさまざまな有利な条件というものを民間に提供するということを考えて、そして民間が貸し出す。今、アメリカの話を言われましたけれども、アメリカは民間が貸し出して政府が保証しているんですよ。あなた方のやっているのは、政府が貸し出して、それをまた政府が保証しようという話で、この点も非常につじつまからいうとおかしいんですよ。
民間に貸し出しをやらせる、そして政府がそれを保証する、そのためには政府の融資というものをどんどん減らしていかなきゃいけないんですよ。同時に、民間に対しても、長期のローンが組みやすいようにするにはどうしたらいいのか。住公が持っているさまざまな法的な特典あるいは財政的な特典、そういったものを手放して、民間にそうした有利な条件を提供するなり、あるいは民間が少なくとも自由に競争できるように、そういう方向に持っていかなきゃいけないわけですよ。
そういうことは言えばわかるはずなんだけれども、ところが、そうやらないんですよ。それは、この組織を維持することだけが至上命題で、一番大事なことということになってしまうから。だから、とにかく、融資業務を何年たったらやめるということを少なくともはっきり言わないとだめですよ。今そんなことを聞いても言えないだろうから、また別の機会に私はしつこく言っておきます。この証券化だって保証機関化だって、五年間言い続けてきてやっとなったわけですから、これはずっとこれからも言い続けていきたいと思います。
それから、もう時間がないから最後に一つだけ言いますが、独立行政法人というこの形態を、これもまたいつまでもやっていくのか。保証機関というものもできるだけ民間化していくということもまた大事なんですよ。これは若干長期にかかるかと思いますけれども。ですから、独立行政法人だって永久にそうやっていくというものじゃないんです。
それからまた、今、職員が千百何十人かおるようです。それから、後楽園のところに地上十二階建ての大ビルが、本社ビルがありますが、そうしたものについてもだんだんと軽量化していかなくちゃいかぬわけですよ。そういうこともきちっと、今すぐ答弁は要りませんから、早急にこうしたものについても検討して、将来計画を出す。将来、本当に廃止する。
今回のものは、廃止といったって名前だけなんですから。名前だけで、別のものにかえるんですから、本当は廃止じゃないんです。だから、本当の廃止計画というものを出さなくちゃいけない。大臣、今回のものは、廃止といったって廃止じゃないんですよ。いわば言葉を非常にあいまいに使っているわけなんです。
時間が参りましたから、融資業務を早くやめるということと、それから民間に貸し出しはゆだねるということを至急出す。今回のものは計画にも何にもなっておりません。これを読んだら全くあいまいで、一般常識からいったら、こういうものでは一般の人は全然理解できません。ですから、もう少しちゃんと改革なら改革ということをはっきりしなければ、小泉内閣もこれはだめですよ。金融機関の中で住公だけしか取り上げない。その取り上げた住公だって何だかちんぷんかんぷんな方針しか出していないということではだめであります。
以上申し上げまして、終わります。
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野党攻撃のツイッター「Dappi」
運営企業社長、自民党本部事務総長と親戚
「赤旗」日曜版報道に大反響
しんぶん赤旗 2021年10月23日(土)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-10-23/2021102301_03_0.html
ウソ情報で野党やメディアを攻撃する投稿をしていたツイッターの匿名アカウント「Dappi」。その運営にかかわっていた企業の社長は、自民党本部の事務方トップ・事務総長の親戚だった―。「しんぶん赤旗」日曜版(10月24日号)の調査報道が「衝撃のスクープ」と反響を呼んでいます。
「ついに核心に迫る大スクープが飛び出した」と日曜版記事を紹介したのはニュースサイトの「LITERA」。「日刊ゲンダイDIGITAL」は「赤旗日曜版スクープの衝撃」との見出しで「大疑獄事件に発展するかもしれない。日本共産党の機関紙『赤旗』が大スクープを放った」と報じるなど反響が広がっています。
フォロワー数17万超と大きな発信力を持つ「Dappi」。自民党や維新を持ち上げる一方、政権を批判する野党やメディアに対しては事実と異なる情報を投稿し拡散させてきました。その運営にかかわっていたのが個人でなく、自民党と取引のある企業だったことが大問題になっていました。
企業の存在が浮上したきっかけは、立憲民主党の小西洋之、杉尾秀哉両参院議員による発信者情報の開示請求でした。
「Dappi」は2020年10月25日、森友事件で公文書改ざんを強要され自殺に追い込まれた財務省近畿財務局職員についてのコラムを要約。「近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間吊(つ)るしあげた翌日に自殺」などと投稿しました。
自殺した近財職員に説明を求めたことも面会した事実もない両議員。投稿で名誉を傷つけられたとして損害賠償請求訴訟に向け、東京地裁に発信者情報の開示請求を申し立てました。それが認められ、アカウントに関与していたのが企業だと判明。両議員は10月、訴訟を起こしました。
日曜版編集部は、独自に問題の企業名を特定しました。都内のビルの一室に本店を置く従業員十数人のウェブ・広告制作会社です。設立は01年11月。民間調査会社などによれば、得意先は「自由民主党」となっています。
一般市民が意見を発信しているかのような投稿が、実は自民党と取引のある企業が組織的に行っていた疑いが浮上したのです。
Dappi運営企業 自民が資金
「Dappi」の運営に関わった企業の得意先がなぜ「自由民主党」なのか。自民党関係者が驚きの証言をしました。
「その社長とは会ったことがある。『元宿さんの親戚』と紹介され、本人もそう名乗り、名刺交換もした。自民党本部や都連を闊歩(かっぽ)していた」
「元宿さん」とは、自民党本部の事務方トップである事務総長の元宿仁氏(76)のこと。同党の事務局長を務め、その後、新設された事務総長に就任しました。
日曜版編集部は複数の関係者の証言や登記簿などから、社長が元宿氏の親族である事実を確認しました。
元宿氏の父方の親族(群馬県在住)の不動産登記簿によると、社長は17年5月、同地に建物を新築し、所有者となっています。
社長はその際、住宅ローンを組みました。抵当権者は独立行政法人住宅金融支援機構。その取扱店が、りそな銀行衆議院支店でした。編集部の取材に同支店は説明します。「当支店は議員会館に勤めている方の福利厚生施設となっている。そのため、一般の方は入れず、国会通行証を持ち、お勤めの方のみ利用や口座開設が可能だ」
民間人の社長がどうして衆議院支店を利用できたのか―。元宿氏の関与はなかったのか―。
同社の大口の収入源となっていたのが自民党です。
政治資金収支報告書によると同社は、「自由民主党東京都支部連合会」から毎年ホームページ関係費や「自民党政経塾」の費用として支出を受けています。第2次安倍政権下の13年以降だけでも、都連からの支出は計約725万円に上ります。
この企業に自民党が世論操作をさせていたとすれば、民主主義を揺るがす重大事態です。巨額の政治資金を使って世論操作できることになるからです。
日曜版編集部は、「Dappi」の投稿への関与や社長と元宿氏の関係について両者に質問しましたが、回答はありませんでした。
Dappi疑惑は入口?元宿仁・自民党事務総長と闇献金ロンダリング
Business Journal 連載 長谷十三「言わぬが花、をあえて言う。」2021.10.28 05:55
https://biz-journal.jp/2021/10/post_259674.html
(抜粋)
”実は多くの人が誤解をしているが、今回の「自民党と取引のあった企業がSNSで野党攻撃」という疑惑はあくまで「入口」にすぎない。永田町関係者、捜査関係者が注目していたのは、事務総長の親族企業を用いた「闇献金ロンダリング」の実態が浮き彫りになるか否かだった。
システム収納センターの実態
なぜそのような話に発展をするのか。謎を解く鍵は、運営企業と取引のあった「システム収納センター」だ。
多くのメディアは同社を「自民党関連企業」「自民党のダミー企業」などと表現をするが、正確ではない。実は自民党が1977年に設立した「集金会社」なのだ。設立当時の報道を見ると、党本部の経理担当者たちが発案したもので、自民党の政治資金団体・国民政治協会と金融機関と連携をして「党友」からの個人献金を効率良く集金をすることを目的に設立された。現在もHPには「口座振替代金回収」が主な業務とある。
そこで思い浮かぶのが、事務総長の元宿仁氏だ。1970年代から党本部職員として主に経理畑を歩んできたので同社の設立にも当然関わっている。そして元宿氏といえば忘れてはならないのが、自民党の「政治とカネ」の流れのすべてを把握し、表も裏も仕切った「闇献金の番人」ともいう存在だったという事実だ。実際、2004年、国民政治協会を経由した日歯連の迂回闇献金疑惑などでは、元宿氏は関与が指摘されて、野党は国会へ証人喚問を要求している。また、橋本龍太郎元首相に1億円の「闇献金」を渡した臼田貞夫日歯連会長(当時)が法廷で、元宿氏に会合や出席者の調整を依頼して、事前に1億円を渡すことも伝えていた、と証言をしている。
そんな元宿氏が、集金会社と、自身の親族企業という2つの舞台装置を使って、どんなことをするだろうか。
これまで関わってきたと囁かれる「迂回献金」「闇献金」ということを考えれば、真っ先に思い浮かぶ疑惑が、これらの2社を活用した「マネーロンダリング」ではないか。少なくとも、「SNSで野党を誹謗中傷する」というようなスケールの小さな案件を扱う必然性はまったく感じられない。なぜなら、自民党直属の広告代理店「自由企画社」を通して電通に発注したほうがはるかに安全だし、組織的な動きができるからだ。〜中略〜
外部からは、元宿氏の親族企業のカネの流れはまったくわからない。仮に、ここに自民党の裏金を入れて、取引先を挟んで、特定の候補者や支部にカネを流すようなことをやられてても、国民はまったくわからないのだ。要するに、元宿氏がかつて追及された「迂回献金」「闇献金」の新しいスキームだ。
まだまだ謎の多い「Dappiゲート」だが、元宿仁氏と、自民党のカネの流れを扱う企業が登場している時点で、これが単なる「SNSを用いた世論誘導工作」という問題ではないのではないか。”
ローン不正、業者の処分ゼロ 不正利用者には厳しい試練
朝日新聞 藤田知也2021年5月4日
長期固定金利の住宅ローン「フラット35」を、投資用マンションなどの購入に不正利用する事例が後を絶たない。ただ、2019年に多数の不正が発覚して以降、行政処分を受けた不動産業者はゼロ。多くの不正を主導しながら、おとがめなしで不正を続ける業者がいる一方、そそのかされて高額物件を買わされた人には厳しい試練が待ち受ける。
不正利用が多発していると朝日新聞が19年5月に報じた後、フラット35を提供する住宅金融支援機構は、同年中に162件の不正を特定した。融資に関わった業者は11社。ローンの利子補給には国の補助金が使われているため、機構は不動産業者を監督する国土交通省などとも情報共有。刑事責任の追及も検討するとしていた。
「事実確認を行い、宅地建物取引業法にもとづき適切に対処していく」。石井啓一国土交通相(当時)は19年9月3日の記者会見で、そう述べていた。
だが、不動産業者の処分を公表する国交省のサイトには、その後も融資の利用目的を偽るなどの理由で処分された業者の情報は掲載されていない。刑事事件に発展した例も明るみにはなっていない。
機構は取材に「行政処分や刑事責任の追及は、関係機関の調査等に協力しているが、詳細は調査等に影響を及ぼす恐れがあり言えない」と回答。国交省不動産業課も、関連した処分は出ていないと認めた上で「現時点でのコメントは控える」としている。
朝日新聞が今回、新たに確認した20年以降の不正事例の中には、19年に機構が特定した不正に関与した男性が、養子縁組で姓を変えた後に、別の法人で不正に関わるケースがあった。また、以前に別の住宅ローン不正に関与していた業者が、売り主となっている事例もあった。
介在した業者への責任追及が進まない一方で、契約上はローンの借り主となる顧客の方は、「不正利用者」として窮地に立たされる。
石井紘基、最期のときの国会議事録をじっくりと読んでみたいと思う。
・暗殺された年の国会
154回 常会 2002年(平成14年)1月21日招集〜7月31日
155回 臨時会2002年(平成14年)10月18日招集〜12月13日
まずは、『日本病の正体』(FNSドキュメンタリー大賞)の中で紹介された
短い石井の国会質疑の場面で使われた❶〜❹の議事録を捜し出して順番に。
石井紘基『日本病の正体』
(12:40〜)
20年後に現実のものとなった石井の予言。
情報が遮断された国は、ある日突然崩壊する。
このままでは日本も危ない。
自分がやるしかない。
2年後国会議員石井紘基が誕生。(1993年7月)
バブルが弾け、日本の経済成長神話が揺らぎ始めた時期だった。
ソ連を見た石井にしか分からない日本崩壊の予感。
石井の焦りは、行動に移された。
●石井紘基 国会質疑
❶「(政治活動費が)紐付き献金と言われる個人に環流する部分ではないか
というふうに思うわけでございます。」
❷「民間が自由に、少なくとも自由に競争できるように。」
❸「私だってこうやって政治生命かけながらやってんだからね。」
(19:11〜)
国民には見えない税金の行き先。
あるとき石井は、それが特殊法人であることに気づく。
会計検査院が調べねばならない団体はいくつあるのか。
この質問がのちの特殊法人改革の出発点となる。
❹「会計検査院が調べなきゃならぬ団体というものは
全体で幾つあるか、お答えをお願いします。」
《石井紘基 関連記事》
2018年08月25日(土)【16年前の預言】暗殺された石井紘基の凄まじい国会質疑 全文❗️
https://ameblo.jp/et-eo/entry-12399831701.html
2022年01月31日(月)【暗殺から20年 石井紘基の国会質疑を読む❶】政策活動費が、ひも付き献金=個人に環流する金
https://ameblo.jp/et-eo/entry-12724342389.html
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今日は、❷「民間が自由に、少なくとも自由に競争できるように。」という発言のある、「第154回国会 衆議院決算行政監視委員会第四分科会 第1号 平成14年4月8日」の議事録を読む。
暗殺の半年前、石井紘基は、特殊法人・住宅金融公庫を表面上は廃止するとして、独立行政法人などと名を変えてそのまま存続させることに強く反対していた。
特会から湯水のように金が流れる政府系の特殊法人を廃止するよう強く訴えていた。
官僚の天下り先となる特殊法人。下にはファミリー企業がぶら下がる。
崩壊したソ連に酷似するこの政治家(口利き/迂回献金)×官僚(天下り、渡り)の
官僚制社会主義システムが民間の経済活動を阻害するからだ。
しかも建前上の民営化・独立行政法人になることは、会計検査院の調査が及ばなくなり、
国会議員の国政調査権も使えなくなることを意味する。
特殊法人・住宅金融公庫2007年3月31日に表向き廃止されたが、
結局、独立行政法人・住宅金融支援機構に業務が引き継がれた。
さて、政治家の迂回献金問題も指摘していた石井紘基。
その凄まじい国会質疑の警告から時を経て、いよいよ混迷するコロナ禍の現代。
大疑獄事件となる可能性があるDappi問題が浮上した。
2021年10月6日、小西洋之議員、杉尾秀哉議員がDappiの法人などに対して
東京地裁に名誉毀損による損害賠償などで訴訟を提起。
赤旗の調べによると、Dappiを運営していたのは企業である株式会社ワンズクエスト。
自民党の事務総長の元宿仁氏の父方の親族で、同社の代表取締役(K氏)は、
元宿氏の郷里の群馬県に建物を新築したが、
その抵当権者は、独立行政法人・住宅金融支援機構だった。
その取扱店は、りそな銀行衆議院支店だった。
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❷第154回国会 衆議院 決算行政監視委員会第四分科会 第1号 平成14年4月8日
○御法川主査 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井紘基君。
○石井(紘)分科員 御苦労さまでございます。住宅金融公庫について、私、質問をさせていただきます。
政府の金融事業というものの中で、特に住宅金融公庫だけが特殊法人の改革の対象になったわけでございますが、これは実は政府の金融事業の大規模化ということが問題なんであって、その中で、ただ住宅金融公庫だけが改革の対象になった。私は、公庫が改革されることはいいんですが、そういう意味では非常に不満なんですけれども。
この改革の趣旨、何のために住宅金融公庫を改革するのかということについてもう一度振り返ってみたいと思いますので、この点について御答弁をお願いしたいと思います。
○三沢(真 国交省住宅局長)政府参考人 住宅金融公庫につきまして、今先生御指摘のように、昨年の特殊法人の整理合理化計画の中で、三点ほどございますが、一つは、住宅金融公庫については五年以内に廃止する。二番目に、民間住宅ローンの証券化支援に係る業務については、住宅金融公庫が先行してこれを行うとともに、公庫の廃止の際、これを行う新たな独立行政法人を設置する。それから、融資業務については、民間金融機関が円滑に業務を行っているかどうかを勘案し最終決定するという方針が示されました。
この基本的な考え方でございますけれども、住宅ローンの中でも、民間でできることは民間にゆだねていくということが基本原則だろう。そういう中で見ますと、現在、いわゆる長期固定の住宅ローンというのは、民間においては供給されがたい状況にあるということはございますけれども、ただ、これにつきましても、証券化支援ということを通じまして民間住宅ローンの長期固定のローンを伸ばしていくという方向性で、もしこれが伸びていけば、公庫の直接融資というのはそれに応じて段階的に縮小していくべきであろうという観点で、基本的な考え方は、民間にできることは民間にゆだねるという観点からこういう方針が示されたというふうに理解しています。
○石井(紘)分科員 民間でできることは民間でとおっしゃいますけれども、その言葉は実はこれまでもう十年も二十年もずっと言われてきたことなんですね。そうじゃありませんか。今まで公庫は、なぜあなたたち、やっているんですかというふうに聞きますと、民間でできないからやっているんです、こういうふうに言ってきませんでしたか。ちょっと答えてください。
○三沢政府参考人 おっしゃるとおり、今までの住宅ローンを過去にさかのぼりますと、公庫の融資の目的でございます長期固定の住宅ローンというのは、現実に民間において供給されていなかったということは事実でございます。そういう意味で、今まで公庫が住宅ローンの融資を行ってきたわけでございます。
ただ、ただいま申し上げましたように、今後の問題として、これから証券化支援というのを始めまして、それに応じて証券市場が成熟するに伴って、民間においてもそういう長期固定のローンを供給するような条件がだんだん整備されていけば民間の住宅ローンも伸びていくだろう、こういう前提のもとに、今回、こういう方針が示されたという理解でございます。
○石井(紘)分科員 それは大分違うんだと私は思いますよ。
というのは、住宅金融公庫は廃止するということを決めたわけでしょう。証券化というのはまだこれからやろうかどうかという話でしょう。それは論理的にもおかしいのですね。まだやっていないことを、やるから、そうすれば民間にもできるようになる。それは将来のことなのであって、今、住宅金融公庫は廃止になったわけですから、それじゃ説明がつかない。
そうではなくて、なぜ住宅金融公庫が廃止になったかということは、今まで民間でできることは民間でと言ってきたことが実は間違いだったんだ、民間にやらせなきゃならないことを、政府が法律をつくって予算措置をして、そしてやってきちゃったから、民間でできなくなっちゃったんだ、民間でできない状態をつくっておいて、政府でなければできないから政府がやるんだということでやってきたところに間違いがあるんだということなんですよ。
こういう金融事業、その他の投資事業もそうですが、お金を借りてきて投資をする、そしてそれを回収して返済する、こういう投資事業というものは、経済がやることなんです。行政がやることじゃないのです、基本的に。
だから、そこを率直に認めないと、この特殊法人改革というのは、大臣、スタートしていかないのですよ。こういうあいまいな形でやりますと、名称は特殊法人であれ独立行政法人であれ、必ず実体はそのまま残っていくのです。必ずそうなるのです。そこのところをはっきりしないとだめですよ。
長期固定のローンというけれども、長期固定のローンは今まで全部失敗してきたじゃありませんか、政府がやってきたのは。その都度特別損失を出して、何回出しましたか、特別損失を。そして、膨大な特別損失をずっと昨年度まで処理し続けてきたじゃないですか。政府の交付金というものを新たにつくって、補給金以外に交付金というものを、莫大なものを設定して、そしてずっと、基本的には昨年よりことしの方が、ことしより来年の方がたくさんの金をつぎ込んで、ずっとそうやってやってきたんじゃありませんか。そんなものは、市場がやっているんじゃないのだから、成り立たないのですよ。市場ではそんな二十年も三十年もの固定の金利なんということは成り立つことじゃないのですよ。
そういうことをいかにも経済的に成り立つかのごとくごまかして、そして、これまで住宅金融公庫というのを無理やり存続させてきた。その結果、戦後つくられた全住宅の三分の一以上もの融資を、ローンを、ひとり政府の機関であるところの住宅金融公庫が独占してきたということが起こって、そして、これは経済、金融に対しても大きな市場のデメリット、市場に対してこれは大きな打撃を与えてきたわけですよ。
今や金融そのものが、日本経済の中の金融部門そのものがにっちもさっちもいかなくなった。そこで、政府系の金融を見直そうじゃないかと。
私が計算したところでは、この間、本にも書いて出しましたけれども、民間の貸出高、サラ金も含めた全金融機関の貸出高の総額は五百二十・四兆円です。それに対して、公的金融機関、政府系金融機関の全貸出高は六百四十八・六兆円です。これは全部政府にいろいろな資料を出していただいて、それを集計したものですよ。
こういう状態になっているから、日本の金融が不良債権処理だなんて一生懸命やったって、あんなものは飛行機が下へ向かって一生懸命エンジンを吹かすようなものですよ。市場が破壊されているんだから、利子はつかないし、金融機関はこういう状態だからですよ。全部政府系の金融機関が仕事をやっちゃって、経済を壊している。市場のものを奪って、市場を壊してしまっている、市場経済じゃなくしてしまっているんです。日本は市場経済の国じゃなくなったんですよ。そういう状態の中で、不良債権処理だなんてばかなことを一生懸命、逆噴射をするようなことをやっている。市場じゃないところでそんなことをやっているわけですよ。だから、あらゆる問題を解決するには、政府の経済活動というものをやめなきゃいけない。その一環がこの住宅金融公庫の廃止でなきゃならないわけです。
住宅金融公庫は、私は、議事録を調べてみましたら、ちょうど五年前、平成九年の三月に、この委員会だったかあるいは建設委員会だったと思いますが、住宅金融公庫を廃止しなさい、廃止して、住宅ローンの証券化を実現し、公庫を保証機関にしなさい、そういうことを五年前に提言して、五年たってようやく、今そういう案が出てきましたよ。出てきましたけれども、中身は、先ほど申し上げましたように、これではいつまでも、ずるずるやはり政府の事業としてやっていこうということになってしまう。したがって、この内容について少しやり取りをさせていただきたいと思うのですね。
特殊法人整理合理化計画の住宅金融公庫関連部分というところでもって書いてあることを幾つか取り上げてみたいと思いますが、「融資業務については、平成十四年度から段階的に縮小するとともに、利子補給を前提としないことを原則とする。」融資業務は段階的に縮小するというのですが、縮小計画というものはあるのですか。何年間で融資業務を一切なくしてしまうとか、あるいは、なくすということはないんですか。
○扇国務大臣 事務局から答弁をいたします前に、今の石井議員のお話の中で、住宅金融公庫そのものを否定するかのごときお話がございましたけれども、私は、五年前に御指摘なすったことが現在やっとなったという、そのことに関しては否定はいたしません。前向きに、住宅金融公庫が世の中の役に立つようにと姿勢を改めることは、私は常にあってしかるべきだと思っていますから、その点はおっしゃるとおりだと思います。
戦後、今おっしゃいましたように、低所得者の人ほどマイホームを持つ夢を、普通の、通常の金融機関に行きますと、あなたはどこの会社で、どんな役で、年収幾らですかと、事細かに聞かれて、金融業界から資金の融資が受けられないという実情がございました。その中で、私どもは、金融公庫というものは、政府が、戦後今日まで千八百五十九万戸でしたか、約三割、今石井議員がおっしゃったとおりです、それだけ低所得者に対して職業も役職も年収も聞かないで、低利で借りられたということが、多くの低所得者、御存じのとおり、八百万以下の低所得者に対して金融公庫というのは八一・九%融資しているんです、普通の金融機関は、八百万以下ですと五〇%しかありません、そのように、普通の金融機関では融資できない、夢を達成できないものを、住宅金融公庫が今日まで多くの役割を果たしてきた。
ただ、現段階で、民間にできるものは民間にという小泉内閣の提案ではございますけれども、つい最近まで、長期、低利、固定の金利をするところというのは、城南金庫以下二カ所しかありませんでした。しかも城南は地域が決まっています。そして五年後に廃止すると言ってから、今金融機関では一般の金融機関が九行ぐらい、既に長期低利の商品を開発し始めました。
そのように、歴史は変わってまいりますけれども、今回五年後に廃止ということで準備しているわけですけれども、今までの住宅金融公庫の果たしてきた役割だけは、私は、戦後日本の経済あるいは国民の夢、そういうものに役立ったことだけは少しは認めていただいてもいいのではないか、そう思います。
それと改革するところは別でございますけれども、中低所得者に対する住宅金融公庫の役割というものは、私は、今日まで多くあったということだけはぜひ石井先生も御確認いただいて、今後住宅金融公庫が変わっていくということに関しては仰せのとおりでございますので、その一点だけ私から報告させていただいて、事務的に局長から答弁させます。
○石井(紘)分科員 今、そういうもとの議論に大臣が戻りましたので、その点で私も申し上げたいことがございます。
私は、当初から全く要らなかったと言ったことはありません。ただ、もう相当前から要らなくなっていたんです、これは。扇大臣も、大臣になられて、担当のところから相当いろいろとレクを受けられたか何か知らないけれども、よく勉強されたようですが。
最初は、さっき言った低所得層、最初はそうだった。これは大昔のことです。百平米以下の家を建てるときに資金を貸すということで発足したんです。特殊法人ですから、そのときに当面の期間として発足した。
ところが、そうしたものを満たして、そうした政策を満たして、本当はそこでもって終わらなきゃいけないんだけれども、どうなったかといいますと、一九七五年には、今度は、新築だけじゃなくてリフォームにもお金を貸そう。八五年になりますと、高規格住宅なんていう定義をつくり出して、そして八七年には、セカンドハウスにも貸しますよ。九四年には、床面積二百八十平米まで広げた。そしてその後は、もう無制限にしてしまった。いいですか。
そして、高度成長からバブルに来て、今度は、注文住宅であろうが、ビルであろうが、マンション経営のためのマンションであろうが、建て売り住宅、財形住宅ですよ、市街地再開発まで、みんな全部、不動産事業は今の都市基盤公団と住宅金融公庫で総ざらいしてしまうというんですね。そういうことになってきているということも、これは担当の国土交通省の人からだけじゃなくて、やはりそういう側面もよく勉強してもらわないと実態がおわかりにならないというふうに思いますね。
そこで、さっきの答弁をしてください。
○三沢政府参考人 まず、先ほどの融資業務についての段階的縮小についてのお尋ねでございます。
特殊法人整理合理化計画に基づきまして、まず、平成十四年度におきましては、今まで融資限度額につきまして、融資率でございますけれども、住宅取得価額の十割まで融資可能となっておりましたけれども、これについて見直しをいたしまして、年収八百万以下の方は八割、それから年収八百万を超える方は融資率を五割にするという見直しをする。それから、今まで経済対策で上積みされてまいりました特別割り増し融資額については、これを約半分近くに縮減する、こういうことを通じまして、事業費のおおむね約四分の一の削減等の措置を講ずるということにしております。
ただ、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、今後証券化支援を公庫が始めた場合に、民間の長期の固定のローンが今後どういう形で伸びていくかということについて、まだなかなか見通しがつかない段階でございまして、これを見きわめつつ、毎年度の予算の中で具体的にどういう形にしていくかということを決定していくというふうに考えております。
それで、いずれにいたしましても、この特殊法人の整理合理化計画の中では、五年以内に公庫を廃止というときに、その廃止の段階で、民間の融資業務が円滑に行われているかどうかを判断してその取り扱いを決定するということになっておりますので、その中で、当然、民間でどのくらい長期固定のローンが伸びてきているかということをよく見きわめていくということになろうかと思います。
○石井(紘)分科員 そこに相変わらず非常にずるい論理があるわけです。そういうふうにごまかしちゃだめですよ。私はちょっと口が悪くて申しわけないんだけれども、ごまかすことがあなた方は非常に習性として身についているという気がしてならない。いいですか。もし違っていたら議論しましょう。言えばいいんですよ、あなたの方でも。
民間で長期固定のローンが伸びていくか伸びていかないかということを見て、その上で融資業務を最終的にどうするかということを判断するんだ、一つそのことをおっしゃった。それから、融資業務そのものについては、民間金融機関が円滑に業務を行うかどうかということによって判断しよう、そういうこともおっしゃった。
これまで民間ができなかった。それは、政府が潤沢な資金を持って、しかもそれを裏づける法律をたくさん持って、長期の固定のローンができるという状態は政府しかできないということにしておいて、財投との関係でそういうことにしておいて。そうしたら、長期の固定のと、民間はできないじゃないですか。法律も財政も、そして政策も、全部が政府を支えているわけですよ。いいですか。
それで、そこのところはそのままにしておいて、政府からの金は入れないということだけですよ、違うところは。あとは法律も全部そのままですよ。財投も、名称は変わったけれども、財政融資資金ということで、今度は財投債ということですから同じですよ。いいですか。条件は全部同じ。
そこで、民間が伸びてきたらそれに応じて手を引きましょう、これは大変なごまかしじゃないですか。ごまかしですよ、それは。だめですよ、そんなこと言っていたんでは。何か言いたいことあったら言ってください。
○扇国務大臣 私は、石井先生のは逆だと思うのですね。私は、石井議員がもっと一般の皆さんの立場に立ってくだすっているんだと信じたいと思うんですね。
なぜかといいますと、住宅金融公庫が五年後廃止ということになってから、私のところへも多くの投書があったり、御説明をくださいというようなことをおっしゃいます。
それは、皆さん方が、住宅ローンを借りていたけれども、住宅ローンが五年後に廃止になったら私はどこへどう振りかわるんでしょうか、そして皆さん方が、金融機関に借りに行ったら、民間金融機関は今みんな合併したり何かして不安でしようがない、しかも条件が厳しくて貸してくれない、私たちはどこへ行けばマイホームの夢ができるんでしょうと、こうおっしゃるので、私は、住宅金融公庫があることが、政府の保証があるからみんな住宅金融公庫に借りに行くので。それと、民間の金融機関では今皆さん自身が信用していない、しかも、十年間は安いけれども十一年からどっと上がっているというようなことも、ぜひ、石井議員がおっしゃる限りは、皆さんを理解してあげて、どちらがいいかと判断できるようなところまで御議論いただければありがたいと思います。
○三沢政府参考人 民間で何で長期固定の住宅ローンが十分供給されてこなかったかという点でございますけれども、民間は、基本的には短期の資金調達で、これを三十年というような長期の運用をするということについては、非常に大きな金利リスクなり繰り上げ償還リスクをこうむるということから、一般には、やはりこれは長期固定のローンを出すことは非常に難しいと言われています。
ただ、これは証券化という形で、そういうリスクを市場に転嫁することによって可能であるということで、現実にアメリカでも、そういう市場に転嫁する形で証券化が行われまして、その結果として相当長期固定のローンが民間に出ているわけでございます。
したがいまして、今回、条件整備ということで、証券化支援業務に乗り出すということが今回の特殊法人整理合理化計画の内容でございます。
それからもう一点、公庫自身の資金調達でございますけれども、これにつきましては、財投改革の中で、市場からの自己調達という観点から、公庫自身もいわゆる財投機関債を相当大きく伸ばしておりまして、今年度は昨年度の約三倍の六千億発行するということで、資金調達についても多様化を図っているということでございます。
○石井(紘)分科員 まず、住公が融資をやめて、そして今まで住公が持っていたさまざまな有利な条件というものを民間に提供するということを考えて、そして民間が貸し出す。今、アメリカの話を言われましたけれども、アメリカは民間が貸し出して政府が保証しているんですよ。あなた方のやっているのは、政府が貸し出して、それをまた政府が保証しようという話で、この点も非常につじつまからいうとおかしいんですよ。
民間に貸し出しをやらせる、そして政府がそれを保証する、そのためには政府の融資というものをどんどん減らしていかなきゃいけないんですよ。同時に、民間に対しても、長期のローンが組みやすいようにするにはどうしたらいいのか。住公が持っているさまざまな法的な特典あるいは財政的な特典、そういったものを手放して、民間にそうした有利な条件を提供するなり、あるいは民間が少なくとも自由に競争できるように、そういう方向に持っていかなきゃいけないわけですよ。
そういうことは言えばわかるはずなんだけれども、ところが、そうやらないんですよ。それは、この組織を維持することだけが至上命題で、一番大事なことということになってしまうから。だから、とにかく、融資業務を何年たったらやめるということを少なくともはっきり言わないとだめですよ。今そんなことを聞いても言えないだろうから、また別の機会に私はしつこく言っておきます。この証券化だって保証機関化だって、五年間言い続けてきてやっとなったわけですから、これはずっとこれからも言い続けていきたいと思います。
それから、もう時間がないから最後に一つだけ言いますが、独立行政法人というこの形態を、これもまたいつまでもやっていくのか。保証機関というものもできるだけ民間化していくということもまた大事なんですよ。これは若干長期にかかるかと思いますけれども。ですから、独立行政法人だって永久にそうやっていくというものじゃないんです。
それからまた、今、職員が千百何十人かおるようです。それから、後楽園のところに地上十二階建ての大ビルが、本社ビルがありますが、そうしたものについてもだんだんと軽量化していかなくちゃいかぬわけですよ。そういうこともきちっと、今すぐ答弁は要りませんから、早急にこうしたものについても検討して、将来計画を出す。将来、本当に廃止する。
今回のものは、廃止といったって名前だけなんですから。名前だけで、別のものにかえるんですから、本当は廃止じゃないんです。だから、本当の廃止計画というものを出さなくちゃいけない。大臣、今回のものは、廃止といったって廃止じゃないんですよ。いわば言葉を非常にあいまいに使っているわけなんです。
時間が参りましたから、融資業務を早くやめるということと、それから民間に貸し出しはゆだねるということを至急出す。今回のものは計画にも何にもなっておりません。これを読んだら全くあいまいで、一般常識からいったら、こういうものでは一般の人は全然理解できません。ですから、もう少しちゃんと改革なら改革ということをはっきりしなければ、小泉内閣もこれはだめですよ。金融機関の中で住公だけしか取り上げない。その取り上げた住公だって何だかちんぷんかんぷんな方針しか出していないということではだめであります。
以上申し上げまして、終わります。
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野党攻撃のツイッター「Dappi」
運営企業社長、自民党本部事務総長と親戚
「赤旗」日曜版報道に大反響
しんぶん赤旗 2021年10月23日(土)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-10-23/2021102301_03_0.html
ウソ情報で野党やメディアを攻撃する投稿をしていたツイッターの匿名アカウント「Dappi」。その運営にかかわっていた企業の社長は、自民党本部の事務方トップ・事務総長の親戚だった―。「しんぶん赤旗」日曜版(10月24日号)の調査報道が「衝撃のスクープ」と反響を呼んでいます。
「ついに核心に迫る大スクープが飛び出した」と日曜版記事を紹介したのはニュースサイトの「LITERA」。「日刊ゲンダイDIGITAL」は「赤旗日曜版スクープの衝撃」との見出しで「大疑獄事件に発展するかもしれない。日本共産党の機関紙『赤旗』が大スクープを放った」と報じるなど反響が広がっています。
フォロワー数17万超と大きな発信力を持つ「Dappi」。自民党や維新を持ち上げる一方、政権を批判する野党やメディアに対しては事実と異なる情報を投稿し拡散させてきました。その運営にかかわっていたのが個人でなく、自民党と取引のある企業だったことが大問題になっていました。
企業の存在が浮上したきっかけは、立憲民主党の小西洋之、杉尾秀哉両参院議員による発信者情報の開示請求でした。
「Dappi」は2020年10月25日、森友事件で公文書改ざんを強要され自殺に追い込まれた財務省近畿財務局職員についてのコラムを要約。「近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間吊(つ)るしあげた翌日に自殺」などと投稿しました。
自殺した近財職員に説明を求めたことも面会した事実もない両議員。投稿で名誉を傷つけられたとして損害賠償請求訴訟に向け、東京地裁に発信者情報の開示請求を申し立てました。それが認められ、アカウントに関与していたのが企業だと判明。両議員は10月、訴訟を起こしました。
日曜版編集部は、独自に問題の企業名を特定しました。都内のビルの一室に本店を置く従業員十数人のウェブ・広告制作会社です。設立は01年11月。民間調査会社などによれば、得意先は「自由民主党」となっています。
一般市民が意見を発信しているかのような投稿が、実は自民党と取引のある企業が組織的に行っていた疑いが浮上したのです。
Dappi運営企業 自民が資金
「Dappi」の運営に関わった企業の得意先がなぜ「自由民主党」なのか。自民党関係者が驚きの証言をしました。
「その社長とは会ったことがある。『元宿さんの親戚』と紹介され、本人もそう名乗り、名刺交換もした。自民党本部や都連を闊歩(かっぽ)していた」
「元宿さん」とは、自民党本部の事務方トップである事務総長の元宿仁氏(76)のこと。同党の事務局長を務め、その後、新設された事務総長に就任しました。
日曜版編集部は複数の関係者の証言や登記簿などから、社長が元宿氏の親族である事実を確認しました。
元宿氏の父方の親族(群馬県在住)の不動産登記簿によると、社長は17年5月、同地に建物を新築し、所有者となっています。
社長はその際、住宅ローンを組みました。抵当権者は独立行政法人住宅金融支援機構。その取扱店が、りそな銀行衆議院支店でした。編集部の取材に同支店は説明します。「当支店は議員会館に勤めている方の福利厚生施設となっている。そのため、一般の方は入れず、国会通行証を持ち、お勤めの方のみ利用や口座開設が可能だ」
民間人の社長がどうして衆議院支店を利用できたのか―。元宿氏の関与はなかったのか―。
同社の大口の収入源となっていたのが自民党です。
政治資金収支報告書によると同社は、「自由民主党東京都支部連合会」から毎年ホームページ関係費や「自民党政経塾」の費用として支出を受けています。第2次安倍政権下の13年以降だけでも、都連からの支出は計約725万円に上ります。
この企業に自民党が世論操作をさせていたとすれば、民主主義を揺るがす重大事態です。巨額の政治資金を使って世論操作できることになるからです。
日曜版編集部は、「Dappi」の投稿への関与や社長と元宿氏の関係について両者に質問しましたが、回答はありませんでした。
Dappi疑惑は入口?元宿仁・自民党事務総長と闇献金ロンダリング
Business Journal 連載 長谷十三「言わぬが花、をあえて言う。」2021.10.28 05:55
https://biz-journal.jp/2021/10/post_259674.html
(抜粋)
”実は多くの人が誤解をしているが、今回の「自民党と取引のあった企業がSNSで野党攻撃」という疑惑はあくまで「入口」にすぎない。永田町関係者、捜査関係者が注目していたのは、事務総長の親族企業を用いた「闇献金ロンダリング」の実態が浮き彫りになるか否かだった。
システム収納センターの実態
なぜそのような話に発展をするのか。謎を解く鍵は、運営企業と取引のあった「システム収納センター」だ。
多くのメディアは同社を「自民党関連企業」「自民党のダミー企業」などと表現をするが、正確ではない。実は自民党が1977年に設立した「集金会社」なのだ。設立当時の報道を見ると、党本部の経理担当者たちが発案したもので、自民党の政治資金団体・国民政治協会と金融機関と連携をして「党友」からの個人献金を効率良く集金をすることを目的に設立された。現在もHPには「口座振替代金回収」が主な業務とある。
そこで思い浮かぶのが、事務総長の元宿仁氏だ。1970年代から党本部職員として主に経理畑を歩んできたので同社の設立にも当然関わっている。そして元宿氏といえば忘れてはならないのが、自民党の「政治とカネ」の流れのすべてを把握し、表も裏も仕切った「闇献金の番人」ともいう存在だったという事実だ。実際、2004年、国民政治協会を経由した日歯連の迂回闇献金疑惑などでは、元宿氏は関与が指摘されて、野党は国会へ証人喚問を要求している。また、橋本龍太郎元首相に1億円の「闇献金」を渡した臼田貞夫日歯連会長(当時)が法廷で、元宿氏に会合や出席者の調整を依頼して、事前に1億円を渡すことも伝えていた、と証言をしている。
そんな元宿氏が、集金会社と、自身の親族企業という2つの舞台装置を使って、どんなことをするだろうか。
これまで関わってきたと囁かれる「迂回献金」「闇献金」ということを考えれば、真っ先に思い浮かぶ疑惑が、これらの2社を活用した「マネーロンダリング」ではないか。少なくとも、「SNSで野党を誹謗中傷する」というようなスケールの小さな案件を扱う必然性はまったく感じられない。なぜなら、自民党直属の広告代理店「自由企画社」を通して電通に発注したほうがはるかに安全だし、組織的な動きができるからだ。〜中略〜
外部からは、元宿氏の親族企業のカネの流れはまったくわからない。仮に、ここに自民党の裏金を入れて、取引先を挟んで、特定の候補者や支部にカネを流すようなことをやられてても、国民はまったくわからないのだ。要するに、元宿氏がかつて追及された「迂回献金」「闇献金」の新しいスキームだ。
まだまだ謎の多い「Dappiゲート」だが、元宿仁氏と、自民党のカネの流れを扱う企業が登場している時点で、これが単なる「SNSを用いた世論誘導工作」という問題ではないのではないか。”
ローン不正、業者の処分ゼロ 不正利用者には厳しい試練
朝日新聞 藤田知也2021年5月4日
長期固定金利の住宅ローン「フラット35」を、投資用マンションなどの購入に不正利用する事例が後を絶たない。ただ、2019年に多数の不正が発覚して以降、行政処分を受けた不動産業者はゼロ。多くの不正を主導しながら、おとがめなしで不正を続ける業者がいる一方、そそのかされて高額物件を買わされた人には厳しい試練が待ち受ける。
不正利用が多発していると朝日新聞が19年5月に報じた後、フラット35を提供する住宅金融支援機構は、同年中に162件の不正を特定した。融資に関わった業者は11社。ローンの利子補給には国の補助金が使われているため、機構は不動産業者を監督する国土交通省などとも情報共有。刑事責任の追及も検討するとしていた。
「事実確認を行い、宅地建物取引業法にもとづき適切に対処していく」。石井啓一国土交通相(当時)は19年9月3日の記者会見で、そう述べていた。
だが、不動産業者の処分を公表する国交省のサイトには、その後も融資の利用目的を偽るなどの理由で処分された業者の情報は掲載されていない。刑事事件に発展した例も明るみにはなっていない。
機構は取材に「行政処分や刑事責任の追及は、関係機関の調査等に協力しているが、詳細は調査等に影響を及ぼす恐れがあり言えない」と回答。国交省不動産業課も、関連した処分は出ていないと認めた上で「現時点でのコメントは控える」としている。
朝日新聞が今回、新たに確認した20年以降の不正事例の中には、19年に機構が特定した不正に関与した男性が、養子縁組で姓を変えた後に、別の法人で不正に関わるケースがあった。また、以前に別の住宅ローン不正に関与していた業者が、売り主となっている事例もあった。
介在した業者への責任追及が進まない一方で、契約上はローンの借り主となる顧客の方は、「不正利用者」として窮地に立たされる。