円の実力、50年ぶり低水準に接近 円安で成長力高まらず
日経新聞 2021年11月17日 18:45 (2021年11月18日 5:11更新) [有料会員限定]
1ドル=114円台後半で推移する外為市場(17日、東京都港区の外為どっとコム)
円の総合的な実力を示す実質実効為替レートが約50年ぶりの低水準に近づいている。国際決済銀行(BIS)が17日に公表した10月の数値は68.71となり、1972年並み(67台)の低さになった。日本の物価上昇率が海外に比べて低く推移したことに加え、輸出競争力を重視して円安につながるような政策を進めたことが要因だ。かつてとは経済構造が変わり、円安は成長力の底上げに寄与していない。
一般的な為替レートは日本と米国など2国間の通貨の関係を示す。実質実効為替レートは様々な国の通貨の価値を計算し、さらに各国の物価変動を考慮して調整する。
自国通貨の実質実効レートが高いほど海外製品を割安に購入でき、逆に輸出には不利となる。BISは2010年を100として実質実効為替レートを算出している。
円の実質実効レートは1995年に150の最高値をつけた後、低下が続いてきた。2015年6月には67.6と72年以来の水準まで低下。21年10月は15年7月以来の低さとなった。
バブル崩壊以降の長引く景気停滞で、他国と比べて日本の賃金や物価が上がらなかったことが背景にある。賃金や物価が上昇する海外と同様の購買力を保つためには、円の価値を引き上げる必要があった。
だが、日本は円高による輸出競争力の低下を懸念し、円高に対処してきた。95年に円高が進んだ際には日米が協調して大規模な円売り介入を実施した。2013年に始まった異次元緩和で円の価値は一段と下がった。
21年になると円の実質実効レートは9%下げ、主要通貨で独歩安になった。ドルは5%上昇し、ユーロは3%の下落にとどまる。新型コロナウイルス禍からの経済回復過程で、日本の物価が海外と比べて上がらないことが影響している。この結果、円の実質実効レートは約50年前とほぼ変わらない水準になった。
かつては円安が製造業の輸出競争力を後押しし、経済成長に寄与した。多くの企業が海外に拠点を移すなどして経済構造が変わり、円安による日本経済の押し上げ効果は弱まった。国内総生産(GDP)に占める製造業の比率は1970年代の35%から、2010年代には20%に低下した。
むしろ足元では円安が輸入物価を押し上げるデメリットが目立ってきた。もともと資源を輸入に頼る日本は、東日本大震災後に化石燃料への依存を強めた。円安と原油高による輸入金額の増加は、輸入企業の円売りを増やしてさらなる円安圧力になっている。
17日には円は対ドルで一時1ドル=114円90銭台まで下落し、4年8カ月ぶりの円安水準になった。円安と原油高は輸出価格と輸入価格の関係を示す交易条件の悪化を招く。日本経済研究センターの岩田一政理事長は「交易条件の悪化による海外への所得流出は足元では10兆円、家計の損失が2兆円」と分析する。
長年にわたる円高への対応は、日本の生産性の低さを助長した面もある。内閣府によると日本経済の実力を示す潜在成長率は足元で0.5%と、1980年の3.8%から大きく低下した。技術革新などを反映する「全要素生産性」も1.6%から0.4%まで下がっている。
本来なら退出を迫られるはずの産業や企業が円安で温存された。競争から守られた企業はイノベーションを起こす動機が薄れた。
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「過去50年の日本は円高の回避に明け暮れてきた。今後は円安回避が課題になる可能性がある」と指摘する。
自国製品を安売りするための円安志向からの脱却と、高付加価値の製品開発を通じた真の競争力強化が求められている。
(佐伯遼)
ANN “過去最大”新経済対策に55.7兆円 午後閣議決定へ(2021年11月19日)
総額55.7兆円の新たな経済対策を決定 岸田政権、過去最大の財政支出
2021年11月19日 18時57分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/143752
政府は19日、財政支出が過去最大となる55兆7000億円の新たな経済対策を閣議決定した。民間の投資分なども含めた事業規模は78兆9000億円にのぼる。18歳以下の子どもへの10万円相当の支給などお金を配る政策が柱で規模が膨らんだ。対策実行のためには新たな国債(借金)発行は避けられないが、政府は財源確保の議論は後回しにしている。(坂田奈央)
◆コロナ第1波の支出を上回る
対策は(1)医療提供体制の確保など新型コロナウイルス対策に22兆1000億円(2)ワクチンの開発支援など危機への備えに9兆2000億円(3)成長戦略や子どもへの給付など分配戦略に19兆8000億円(4)防災と減災に4兆6000億円―の4本柱。国と地方の支出に、国が低金利で貸し出す財政投融資を加えた財政支出は、コロナ第1波に襲われた昨年4月の対策時の48兆4000億を上回った。
給付政策では、18歳以下の100000円支給で、養育者の年収960万円の所得制限を設けた。このほか住民税非課税世帯には10万円を支給。売り上げが激減した事業者向けには最大250万円を支援する。
◆既存政策の焼き直し目立つ
そのほかの政策では、安倍・菅政権時代からの焼き直しも目立つ。今回盛り込まれた大学の研究資金や人材育成を支援する大学ファンドのほか、デジタルやグリーン、人工知能(AI)などの研究開発への投資強化などは、過去にも講じられた。マイナンバーカードの新規取得者らへのポイント付与は今回、最大2万円分となった。昨年12月末に停止した観光支援事業「Go To トラベル」も再開する。
政府は、対策の裏付けとして2021年度補正予算案を26日に、22年度当初予算案を来月下旬に編成し、「16カ月予算」として経費や財源を計上する。新型コロナの感染者数が大幅に減り経済活動が活発化しつつある中で、感染拡大期を超える財政支出を伴う対策には、エコノミストから疑問の声が上がっている。
【関連記事】円、一時114円97銭 4年8カ月ぶり円安ドル高水準
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB173B00X11C21A0000000/
経済対策55兆円!10万円給付金問題で分かる日本を喰い尽くす地獄の天下りシステム。後半清水錯乱!税金に群がるシロアリたち。安冨歩東大教授。一月万冊
![]()
一般社団法人サービスデザイン推進協議会
Service Design Engineering Council
https://servicedesign-engineering.jp/aboutus/
令和2年度持続化給付金事務事業の 確定検査報告書
2021年8月 中小企業庁長官官房総務課
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/jizokuka20210812.pdf
海外が驚愕!最大規模の55兆円の大盤振る舞いの経済対策!果たしてこれは効果があるのだろうか?海外報道チェック。平田悠貴。一月万冊
1年間消費税ゼロにしろ!経済対策の財政支出55兆円とか無駄!それをやらない理由は自民党の利権構築と官僚の天下り先確保だけ。平田悠貴。一月万冊
財務省 これからの日本のために財政を考える
https://www.mof.go.jp/policy/budget/fiscal_condition/related_data/202110_kanryaku.pdf
日経新聞 2021年11月17日 18:45 (2021年11月18日 5:11更新) [有料会員限定]
1ドル=114円台後半で推移する外為市場(17日、東京都港区の外為どっとコム)
円の総合的な実力を示す実質実効為替レートが約50年ぶりの低水準に近づいている。国際決済銀行(BIS)が17日に公表した10月の数値は68.71となり、1972年並み(67台)の低さになった。日本の物価上昇率が海外に比べて低く推移したことに加え、輸出競争力を重視して円安につながるような政策を進めたことが要因だ。かつてとは経済構造が変わり、円安は成長力の底上げに寄与していない。
一般的な為替レートは日本と米国など2国間の通貨の関係を示す。実質実効為替レートは様々な国の通貨の価値を計算し、さらに各国の物価変動を考慮して調整する。
自国通貨の実質実効レートが高いほど海外製品を割安に購入でき、逆に輸出には不利となる。BISは2010年を100として実質実効為替レートを算出している。
円の実質実効レートは1995年に150の最高値をつけた後、低下が続いてきた。2015年6月には67.6と72年以来の水準まで低下。21年10月は15年7月以来の低さとなった。
バブル崩壊以降の長引く景気停滞で、他国と比べて日本の賃金や物価が上がらなかったことが背景にある。賃金や物価が上昇する海外と同様の購買力を保つためには、円の価値を引き上げる必要があった。
だが、日本は円高による輸出競争力の低下を懸念し、円高に対処してきた。95年に円高が進んだ際には日米が協調して大規模な円売り介入を実施した。2013年に始まった異次元緩和で円の価値は一段と下がった。
21年になると円の実質実効レートは9%下げ、主要通貨で独歩安になった。ドルは5%上昇し、ユーロは3%の下落にとどまる。新型コロナウイルス禍からの経済回復過程で、日本の物価が海外と比べて上がらないことが影響している。この結果、円の実質実効レートは約50年前とほぼ変わらない水準になった。
かつては円安が製造業の輸出競争力を後押しし、経済成長に寄与した。多くの企業が海外に拠点を移すなどして経済構造が変わり、円安による日本経済の押し上げ効果は弱まった。国内総生産(GDP)に占める製造業の比率は1970年代の35%から、2010年代には20%に低下した。
むしろ足元では円安が輸入物価を押し上げるデメリットが目立ってきた。もともと資源を輸入に頼る日本は、東日本大震災後に化石燃料への依存を強めた。円安と原油高による輸入金額の増加は、輸入企業の円売りを増やしてさらなる円安圧力になっている。
17日には円は対ドルで一時1ドル=114円90銭台まで下落し、4年8カ月ぶりの円安水準になった。円安と原油高は輸出価格と輸入価格の関係を示す交易条件の悪化を招く。日本経済研究センターの岩田一政理事長は「交易条件の悪化による海外への所得流出は足元では10兆円、家計の損失が2兆円」と分析する。
長年にわたる円高への対応は、日本の生産性の低さを助長した面もある。内閣府によると日本経済の実力を示す潜在成長率は足元で0.5%と、1980年の3.8%から大きく低下した。技術革新などを反映する「全要素生産性」も1.6%から0.4%まで下がっている。
本来なら退出を迫られるはずの産業や企業が円安で温存された。競争から守られた企業はイノベーションを起こす動機が薄れた。
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「過去50年の日本は円高の回避に明け暮れてきた。今後は円安回避が課題になる可能性がある」と指摘する。
自国製品を安売りするための円安志向からの脱却と、高付加価値の製品開発を通じた真の競争力強化が求められている。
(佐伯遼)
ANN “過去最大”新経済対策に55.7兆円 午後閣議決定へ(2021年11月19日)
総額55.7兆円の新たな経済対策を決定 岸田政権、過去最大の財政支出
2021年11月19日 18時57分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/143752
政府は19日、財政支出が過去最大となる55兆7000億円の新たな経済対策を閣議決定した。民間の投資分なども含めた事業規模は78兆9000億円にのぼる。18歳以下の子どもへの10万円相当の支給などお金を配る政策が柱で規模が膨らんだ。対策実行のためには新たな国債(借金)発行は避けられないが、政府は財源確保の議論は後回しにしている。(坂田奈央)
◆コロナ第1波の支出を上回る
対策は(1)医療提供体制の確保など新型コロナウイルス対策に22兆1000億円(2)ワクチンの開発支援など危機への備えに9兆2000億円(3)成長戦略や子どもへの給付など分配戦略に19兆8000億円(4)防災と減災に4兆6000億円―の4本柱。国と地方の支出に、国が低金利で貸し出す財政投融資を加えた財政支出は、コロナ第1波に襲われた昨年4月の対策時の48兆4000億を上回った。
給付政策では、18歳以下の100000円支給で、養育者の年収960万円の所得制限を設けた。このほか住民税非課税世帯には10万円を支給。売り上げが激減した事業者向けには最大250万円を支援する。
◆既存政策の焼き直し目立つ
そのほかの政策では、安倍・菅政権時代からの焼き直しも目立つ。今回盛り込まれた大学の研究資金や人材育成を支援する大学ファンドのほか、デジタルやグリーン、人工知能(AI)などの研究開発への投資強化などは、過去にも講じられた。マイナンバーカードの新規取得者らへのポイント付与は今回、最大2万円分となった。昨年12月末に停止した観光支援事業「Go To トラベル」も再開する。
政府は、対策の裏付けとして2021年度補正予算案を26日に、22年度当初予算案を来月下旬に編成し、「16カ月予算」として経費や財源を計上する。新型コロナの感染者数が大幅に減り経済活動が活発化しつつある中で、感染拡大期を超える財政支出を伴う対策には、エコノミストから疑問の声が上がっている。
【関連記事】円、一時114円97銭 4年8カ月ぶり円安ドル高水準
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB173B00X11C21A0000000/
経済対策55兆円!10万円給付金問題で分かる日本を喰い尽くす地獄の天下りシステム。後半清水錯乱!税金に群がるシロアリたち。安冨歩東大教授。一月万冊

一般社団法人サービスデザイン推進協議会
Service Design Engineering Council
https://servicedesign-engineering.jp/aboutus/
令和2年度持続化給付金事務事業の 確定検査報告書
2021年8月 中小企業庁長官官房総務課
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/jizokuka20210812.pdf
海外が驚愕!最大規模の55兆円の大盤振る舞いの経済対策!果たしてこれは効果があるのだろうか?海外報道チェック。平田悠貴。一月万冊
1年間消費税ゼロにしろ!経済対策の財政支出55兆円とか無駄!それをやらない理由は自民党の利権構築と官僚の天下り先確保だけ。平田悠貴。一月万冊
財務省 これからの日本のために財政を考える
https://www.mof.go.jp/policy/budget/fiscal_condition/related_data/202110_kanryaku.pdf