新外交イニシアティブ(ND)事務局長 弁護士の猿田佐世氏
(1:11:41〜 アーミテージ報告書についての話が始まる)
「アーミテージ・ナイレポート」は、
日本の安全保障政策、防衛政策の教科書だと言われてきた。
敗戦国の日本は、アメリカに従属させられて、
アーミテージ・ナイレポートのような日本への提言は、
逆らうことが出来ない強い力を持ち、
一から十までその声の通りの政策を進めてきた…
そう考えられてきたが…、
猿田氏は、それは、日本政府が日本向けに作った日本の姿で、
実際はそうではなく、
むしろ、日本が〈自発的に〉対米従属をしてきたのだという。
しかも、日本政府は、何億という資金を投じて、
自らが求める政策を、あえてアメリカ側からの声として逆輸入するという
偽装工作をしていたことが、
ワシントンでの民間外交活動などにより判ったのだという。
つまり、日米地位協定や、沖縄の基地、辺野古は、
アメリカではなく、日本政府が手放さないのである。
明確に言えることは、
日米地位協定や、沖縄の基地、辺野古などは、
日本が「嫌だ」と意思表示すれば、アメリカはそれに応じるということ。
止めるつもりがあれば止められる。
地位協定、辺野古こそは、自発的な対米従属の象徴である。
「アーミテージ・ナイ・レポート」を出している
ワシントンの民間のCSIS(戦略国際問題研究所)
というシンクタンクには、
日本政府から2015年には6000万円以上、
JETRO(日本貿易振興機構)から2014年には3000万円もの
お金が出ている。
日本政府からお金でアーミテージ・ナイ・レポートが書かれている
とまでは言わないが、
CSISにとっての最大ドナーは日本である。
日本の希望する様々な政策を、
米国の要望としてワシントンで発表してもらえるように
ロビーイングするために、
毎年日本政府・大使館などは、
何億円ものお金を使っているのが現実である。

日米同盟に関する提言(要旨)
◉安全保障
・中国の軍事的な能力の向上と北朝鮮の核ミサイルの脅威のもと、
日本は国内総生産(GDP)1%以上の防衛費を支出する必要がある。
・日米は米軍と自衛隊が別々に使用している基地の
統合と共同使用に向けて動くべきだ。
最終的には在日米軍は日本の国旗を掲げた基地から
部隊運用をするべきだ。
・日米は西太平洋における共同統合任務部隊を創設するべきだ。
台湾を始め、南シナ海、東シナ海における偶発的な衝突に対応できる。
・日本は統合作戦司令部を創設するべきだ。
現在の統合幕僚監部では組織への負担が極めて重すぎる。
・中国は日米の意思決定の遅さを利用し、
既成事実を積み重ねる戦略を持つ。
日米は意思決定を早めるため、共同の緊急対応計画を策定する必要がある。
日米はいわゆる「グレーゾーン」事態に米軍を関与させることを
検討するべきだ。
◉技術開発
・新型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の開発のように、
日米は防衛装備品の共同開発を拡大するべきだ。
・日米は情報共有、サイバー、宇宙、人工知能(AI)など
高度科学技術分野で連携を強化するべきだ。
◉地域諸国との連携
・北朝鮮の核ミサイルの脅威に対抗するため、
日米韓は3カ国の共同軍事演習を拡大するべきだ。
北朝鮮の非核化交渉では、軍事演習、米軍のプレゼンスを
非核化の交渉材料とするべきではない。
・中国は経済圏構想「一帯一路」で
インド太平洋地域に大きな影響力をもつ。
日米はインフラ整備のための地域基金を設立するなど、
地域諸国にとって魅力的な投資計画を作るべきだ。
・日米の経済・ビジネスリーダーは
短期的な2国間の貿易赤字に焦点を当てるべきではなく、
貿易、投資、開発、金融サービスのあり方など長期的な議論をするべきだ。
◉経済協力
・日本は「包括的および先進的な環太平洋経済連携協定」(CPTPP)を
支持し続けるべきだ。
最終的な目標は米国の参加にある。
・日米は政府高官と企業の最高経営責任者(CEO)による
「官民対話」を設置するべきだ。