シリアのアサド政権の大虐殺は、
今回の化学兵器使用だけを非難すればいいような
規模のものではないが、
ついに見過ごせない人道危機として、
4/14米英仏がアサドの化学兵器施設への軍事攻撃を行った。
そして、OPCW(化学兵器禁止機関)の調査チームが
ドゥーマに入ったようだ。
シリアの子供たちはもう7年も地獄の中にいて
ロシア、イランに援護されたアサドが
いまだに大統領の座に居座り続けている。
シリアのアラブの春〜
2011年3月15日、シリア市民は政府の汚職の解決を求め、
各地の主要都市で一斉にデモが行い抗議運動が拡大した。
3月18日、金曜礼拝の後、オンラインで「尊厳の金曜日」が呼びかけられ、
数千人の抗議デモがシリア各地で行われ、
地方治安部隊が暴力的に取り締まった。
3月25日、オンラインで「栄光の金曜日」という大規模デモが呼びかけられ、
国内各地で数万人が抗議活動を行った。
シリア南部では軍隊が発砲し、平和的なデモの参加者が殺害された。
このシリアのデモの初期段階の状況は、
日本の市民も今や実感として理解できるのではないか。
安倍内閣総辞職を求めて行われている国会前デモや
沖縄 辺野古 高江の基地反対デモなど
デモに対する警察の過剰警備 や
暴言暴力と二重写しになりはしないだろうか。
安倍は、今日4/18からアメリカに行っている。
協議路線に転じたトランプの北朝鮮問題対応に
完全にひとり取り残された安倍が日米首脳会談を行う。
シリア問題では「米英仏の軍事介入を支持する」と首相声明を出している。
しかし、この声明と裏腹に、
日本がこっそりとアサド政権に経済協力しているとしたらどうだろう?
日本は、2011年5月から民主党政権下でアサドへの
「新規の経済協力は見合わせる」として、
安倍政権もこれを引き継いでいたはずだ。
安倍は2013年8月外遊先のカタールでは
「アサド政権は道を譲るべきだ」と退陣を求める声明まで出していた。
ところが、
日本は、国連開発計画(UNDP)の事業として、
アサド政権の支配下にあるジャンダール火力発電所の補修・復旧のために
約25億円を提供する契約を結んでいた。
事業主体はUNDPだが、日本政府が約22億5千万円、
国際協力機構(JICA)が約2億5千万円を提供しており、
日本外務省やJICA内で、この事業は日本の関与が明るみに出ないよう、
「ゼロ・ビジビリティ(透明度ゼロ)」という扱いにして
隠しているというのだ。
しかも第1弾のジャンダール火力発電所への25億円を提供のみならず、
計画ではシリア内のアル・ザラ火力発電所、バニアス火力発電所の
修復・復旧も見込んでいる。
https://www.nishinippon.co.jp/feature/attention/article/323760/
これは、シリアの人道危機の只中にいる子供たちをはじめとする市民、
この人道危機を許してはならないと考える国際社会に対する
裏切りではないだろうか?
◇ ◇
さて、現在、各省庁の《公文書の改竄隠蔽》問題が次々に噴出している。
“官庁の中の官庁”として君臨していた財務省による決裁文書の改竄は、
民主主義国家の根幹を揺るがす問題として衝撃を与えた。
文書の一文字を厳格に重んじる官僚が、
総理を守るために文書を書き換え、
「国権の最高機関」たる国会を騙したのだ。
しかし、人事権をちらつかせ官僚に行政を歪めることを強い続ければ、
国家を私物化する総理に対する憤りと不満は、
いずれ「内部告発」という形で噴出する。
◇ ◇
日本中が注目した事件にも関わらず、
意外にも 殆どの人に知られていない「内部告発」がある。
それは、2015年1月17日
安倍の中東外遊のエジプト演説についての「内部告発」である。
2015年2月6日のVice Newsにある日本の外務官僚が、
「ISILと闘う周辺各国に総額で2億ドル程度の支援をお約束します〜
という文言はオリジナルの原稿にはなかった。」
「安倍は原稿にないことを喋っていた」
…と暴露している! (下段⬇︎に紹介)
2015年といえばその年の9月、
数十万人規模の反対デモが行われる中、
暴力的な強行採決によって「安保法」が成立し、
森友の塚本幼稚園の園児たちが運動会で
「安倍首相ガンバレ!安倍首相ガンバレ!
安保法制国会通過よかったです」と唱和させられていた。
2015年の年明けは、お正月気分を吹き飛ばす事件が連続した。
1/7 シャルリー・エブド襲撃事件がパリで発生。
1/17 中東訪問中の安倍のエジプト演説。
1/20 ISILによる 湯川 後藤 両氏の拘束 身代金要求動画発信。
日本中が固唾を飲んでシリアでISILに拘束された
湯川氏と後藤氏の無事な救出を願い見守っていた。
そして、政府による救出活動は、
湯川 後藤 両氏の処刑動画が流されるという形で
失敗に終わった。
2015年5月に官邸から
邦人殺害テロ事件の対応に関する検証委員会
「検証報告書」が発表された。
検証委員会のメンバーは以下の通り。
ーーーーーーーーーーー
委員長 内閣官房副長官(事務)
委員長代理 内閣危機管理監
国家安全保障局長 内閣情報官
委員 内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)
国家安全保障局次長
警察庁警備局長
外務省大臣官房長
外務省中東アフリカ局長
防衛省運用企画局長
○ 有識者(五十音順;敬称略)
池内 恵(東京大学先端科学技術研究センター准教授)
長 有紀枝(立教大学教授、難民を助ける会理事長)
小島 俊郎((株)共同通信デジタル執行役員・リスク情報事業部長)
田中 浩一郎(日本エネルギー経済研究所常務理事・中東研究センター長)
宮家 邦彦(立命館大学客員教授)
ーーーーーーーーーーーー
この検証報告書の中に、
批判された安倍のエジプト演説についての弁明が書かれていた。
(一部抜粋↓)
〜〜(p16)
(4) 総理の中東訪問のタイミング及びスピーチの表現は適当であったか。
○ 総理スピーチでのISIL関連の言及は、ISILを刺激するものではなかったか。
○ 今回のエジプトにおける中東政策スピーチにおいても、総理から、
そうした日本の立場を改めて明確に発信すべく、
官邸と外務省との間で緊密に調整を行い、
総理に随時指示を仰ぎながら案文の作成作業を行った。
最終的に訪問直 前に総理の了承を得て、
ISIL関連部分を含む案文全体をセットした。〜〜
検証報告書のこの部分に書かれて入ることは、虚偽ではないが、
その後、演説の当日に起こった事件
=「安倍が原稿にないことを喋り出した」ことを隠蔽している❗️
外務官僚の中には、
本番で安倍に裏切られ、
即座にシリアで行方不明の2人の邦人のリスクを思い愕然とし、
とんでもないことに発展する予感に慄き、
同時に怒り心頭した者もいたことだろう。
シリアで行方不明の邦人の問題を抱えながら
中東訪問を行うという薄氷を踏むような状況下の演説である。
推敲を重ね周到に練り上げられ、
国際社会に発信される重要な演説の原稿だ。
そこへ安倍が全く書かれていないことを勝手に話すという暴挙に出た。
安倍もしくは官邸はオリジナル原稿に不満をもっていたのか?
単に安倍が突発的に調子に乗って、経済力を見せつけながら、
勇ましくインパクトのある演説をしたくなったのか?
それとも、集団的自衛権 行使容認 安保法案成立のために
シリア人質事件、即ち、テロリストによる日本人の死を梃子に使い、
テロとの戦いの必要性を日本人に納得させようと考えた
官邸の謀略なのか?
いずれにしても、ISIL人質事件を抱えているにも関わらず、
ISILを名指しで刺激することは、
人質の命を危険に晒す可能性を考えないものはいない。
ーーーーーーーーーーーーー
中東外遊 エジプトでの演説 2015年1月17日
(2:11〜)
安倍「ISILと闘う周辺各国に総額で2億ドル程度の支援をお約束します。」
ISILを挑発するような安倍のエジプト演説の3日後、
2015年1月20日 ネット上に例のISILの動画があがった。
●NHKワールド榎原美樹
同日1月20日 NHKワールド編集長の榎原美樹氏が
後藤氏について語るインタビューが同局ニュース番組で放映された。
榎原氏の発言は、日本では殆ど報道されていないが、
榎原氏によると、
「私が彼を最後に見たのは彼がトルコを離れる前のある日、
このレポートが放映された前です。
彼は、そこからシリアに行くことを計画していると私に言いました。
それから彼は発って行き―彼に近しい人に寄ると、
彼は10月の29日に日本に帰る計画でした。」
「湯川さんと一緒にいた親しい武装組織からNHKに
湯川氏がアレッポで迷子になりイスラム国に拘束されたらしいと
通知してきた(2014年8月)」
※後藤氏のコバニ取材は2014年10月22日に放映された。
NHK WORLD News Top Stories Islamic State Threat イスラム国家の脅威
Oct. 22, 2014 『Exodus from Syria シリア難民』
※後藤氏はトルコ ガジアンテップの常宿のホテルに一部荷物を置いたまま1/24にシリアに入った。
※後藤氏はトルコのキリスからシリアに入った。
シリア側検問官は彼はマレアに1日滞在しイスラム国に入りシリアには2日滞在すると言ったと語った。
※湯川氏の行方不明の第一報は、穏健派武装組織・自由シリア軍からNHKに伝えられたと推測される。
*原文 https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/editors/5/2015012002/index.html
*和訳 https://ameblo.jp/et-eo/entry-11985793067.html
●政府関係者
そして、1月21日毎日新聞に政府関係者からのリーク記事が打たれた。
毎日新聞 2015年1月21日(水)0時4分配信
◇昨年11月に「イスラム国」側から届く
イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」とみられるグループが、
昨年シリア入りして行方不明になった千葉市の湯川遥菜さん(42)と
ジャーナリストの後藤健二さん(47)とみられる2人を拘束している映像が
インターネット上で公開された問題に絡み、
昨年11月に「イスラム国」側から後藤さんの家族に
約10億円の身代金を要求するメールが届いていたことが分かった。
政府関係者が明らかにした。
●外務省関係者
2015年2月6日のVice News(⬇︎)に
安倍のエジプト演説の件をリークした〈外務省関係者〉は、
2015年1月21日の毎日新聞(⬆︎)に
ISILから後藤氏妻に身代金要求があった件をリークした
〈政府関係者〉と同一人物か、
あるいは意思疎通し合っている仲間の外務省官僚だろう。
安倍のエジプト演説の
「ISILと戦う国に2億ドルを約束する」という台詞は、
用意された原稿にはなかった❗️という、
この記事は、さすがに激怒した外務官僚が
安倍を背中から蹴り飛ばすような大暴露の驚くべきスクープだが、
これも日本では殆ど読まれていない記事なので、
重要な部分のみを再掲して紹介する。
〜〜Vice News
Inside Japan's New War With the Islamic State
日本のイスラム国との新しい戦争の内幕
By Jake Adelstein and Nathalie-Kyoko Stucky
February 6, 2015 | 10:50 am 〜〜
《以下は、この記事⬆︎から重要な部分を抜粋して訳したものです。》
The lines about 'In order to minimize the threat of ISIS' and 'Japan pledges $200 million in support to those countries battling ISIS' — none of that was in the original speech that our ministry had checked," the MOFA official told VICE News. "Even a first-year bureaucrat at MOFA would know those words could constitute a declaration of war to radicals like ISIL."
「その文章 'ISISの脅威を少しでも食い止めるために' そして、'日本はISISと戦っている国への支援2億ドルを約束する'- それはどれもオリジナルの演説の中にはなかった。」と外務省関係者はVICEニュースに語った。
「外務省において一年生の官僚でさえ、その言葉がISILのような過激派に宣戦布告を買って出ることだと解るだろう。」
A spokesperson at Abe's office told VICE News, "We won't comment on the process in which the final speech was completed and delivered, or what was the in the original manuscript."
安倍のオフィスの広報担当者は、VICEニュースに語った。
「私たちは、最終的な演説が完成して届けられるプロセス、またはオリジナルの原稿の内容については、コメントしません」
After the speech, copies of the prepared statement were reportedly trashed, and work began on a transcript reflecting the additional lines. MOFA insiders said that there was internal debate about which Japanese character to use for a key word: tatakau, which can be written with two different characters that sound the same but have slightly different meanings. The first character connotes an abstract struggle — a battle with cancer, for instance — while the second is used to discuss warfare. MOFA decided to use the more abstract character in the Japanese transcript.
スピーチの後、準備された演説のコピーは伝えられるところによるとゴミ箱行きになり、追加の節を反映した文字起こしの仕事が始まった。
外務省内部の者は、キーワードに使う日本語の文字について内部議論があったと語った:「たたかう(闘う&戦う)」これは同じようには聞こえるが、わずかに異なる意味を持つ2つの異なる文字に書くことができる。ひとつ目の文字は抽象的苦闘を暗示し、- 例えば癌との闘いといったような-二つ目は戦争について言うのに使われる。外務省は日本語文書の中にはより抽象的な文字の方を使うことにしたのである。
Similarly, in the English translation they used "contending with ISIL" rather than "warring with ISIL" or "fighting with ISIL." Special attention was reportedly paid by MOFA to soften the words in English as much as possible. On February 2, MOFA representatives were called to LDP headquarters and told that they had failed to ensure Abe's speeches were properly communicated to the foreign press.
同様に、英訳では「warring with ISIL(ISILと戦い)」もしくは、 「fighting with ISIL(ISILと戦い)」よりむしろ、彼らは「contending with ISIL(ISILとの闘い)」を使った。外務省は、できるだけ多くの英語の言葉が柔らかく伝わるよう特別な注意を払った。2/2、外務省の代表者は自民党本部に呼ばれ、安倍の演説が外国のプレスに適切に伝達されるよう守ることに失敗していたと言われた。
"We get blamed for the crappy English translation, but we were doing damage control," the MOFA source told VICE News. "He didn't read his lines."
「私たちはくだらない英語翻訳のために非難を受けるが、
しかし、我々は失敗しないよう調整をしていた。」その外務省の情報提供者は VICE Newsに語った。「彼は台詞を読んでいなかったのだ。」
That may sound like an odd thing for a bureaucrat to say about a prime minister's speech, but in Japan even Q&A portions of press conferences are scripted. The press club submits questions to politicians in advance, who then read their prepared answers. Some follow-up questions are allowed.
それは首相の演説について語る官僚としては、奇妙なことのように聞こえるかもしれない。しかし、日本で記者会見のさえ質疑応答の部分はスクリプト化されている。記者クラブは、事前に政治家に質問を提出し、その後、政治家は彼らの準備された答えを読む。いくつかの補足質問は許可されている。
The outcome of Q&A sessions at the National Diet,
Japan's legislature, are so scripted that news services sometimes report the content of the answers before they are given in session. Government ministries often write answers for Diet members — and sometimes write questions for the press. In 2006, when the governor of Nagoya decided to hold a committee meeting without scripted questions and answers, that fact was considered newsworthy.
国会での質疑応答の結果というもの、日本の議会というものは、次のようにスクリプト化される。通信社は時々彼らが会議を開く前に、回答の内容を報道するという具合だ。政府省庁は、多くの場合、国会議員のための回答を書く。- 時にはプレスへの質問さえ書く。2006年には、名古屋の知事は、質疑応答をスクリプト化せずに委員会を開催することを決定したとき、この事は報道価値があると考えられた。
And so when Abe gave his speech, MOFA was caught off guard. In addition, the $200 million Abe promised had not yet been approved by the Diet. MOFA later clarified that Abe meant in the Cairo speech that he was going to allocate $200 million "with the approval of the Diet."
それゆえに、安倍が演説をした時、外務省は不意を突かれた。その上、安倍が約束した2億ドルは、まだ国会で承認されていなかった。カイロ演説において彼はこれから”国会の承認を得て”2億ドルを配分するつもりだったというのが安倍の言わんとすることだったと外務省は明かした。
【時系列 参考記事】
▼湯川氏後藤氏のケース・時系列
▼安田氏のケース・時系列
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【内部告発】安倍エジプト演説「ISILと戦う各国に2億ドル」は原稿になかった❗️ by外務官僚
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