以下は、
立命館大学・高橋学氏
IWJインタビューを聞いてとった個人的メモです。
●日本は地球上で最も地震が起きやすい国
世界には14-5枚のプレートがあるが、
4枚のプレートがせめぎ合っている日本だけ。
太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレートの3枚が、
一つに重なっているのは、東京だけ。
中央構造線=日本最大の断層
長野 愛知 三重 和歌山 徳島 愛媛 大分 熊本
日本の神社=古神道・磐座信仰はこの断層上に点在しているのも、
災害への畏れの表れ。
正確な観測がされている明治以降から日本で起きた
M7以上の地震を観測すると、5年ごとに3回起きている。
M7以上の地震は、頻繁に起きていると言える。
「未曾有の大地震」と呼ばれるものは、
人間への被害規模で記憶されているだけのこと。
関東大震災から、阪神淡路大震災まで
大きな地震が起きていないと誤解されている。
地震と震災はイコールではない。
都市の発達は災害を大きくする。
インナーシティの恐怖
=帰りたくても帰れない年の脆弱性=駅、道路、橋
人間には地震の予測はできない。防ぐことができないが、
災害のレベルを小さくすることはできる。
●地震災害を小さくするには
家を建てる場所、家の建て方、築年数の新しさなどで、
災害を小さくすることはできるが、
都市は大きくなればなるほど、災害が大きくなる。
1960年代以前の人々は「家を建ててはいけない場所」を知っていた。
地域の長老、お爺さん、お婆さんから、
「地下水の高い土地に家を建ててはいけない」と教わっていた。
水持ちの良い田圃=地下水の高い田圃=掘るとすぐに井戸が湧く
=地下水が高くいつも湿っているので、冬場に麦も野菜も作れない。
地下水が1m50くらい下を流れる渇いた田圃では、
コメ、麦、野菜がたくさん収穫できた。
1965年以降、高度成長期になると、集落共同体が失われ、
核家族化が進み、田舎から次男3男が都市にやって来て、
都市開発された分譲住宅の安い土地に家を建てた。
地盤に川や海があった埋立地は震度で2ほども違う。
東京の神田川、江戸川、渋谷川などの河川域の密集地と
山の手では、揺れ方が大きく違う。
熊本の益城町は、市役所も含めて、
隣の阿蘇山の噴火による溶岩流のつくった深い谷の真ん中にある。
人々は、水を求めて水辺に町を作ったのである。
日本列島で1か月間で起きた地震 ほとんど地震がないところはない。
敢えて言えば「岡山」は地震が少ない。岡山県は地震・台風・洪水もあまりない
丸の大きさ=地震の規模 赤=深度が深い 青=深度が浅い
●熊本の地震のメカニズム
4月14日21時26分に北緯32.7度、東経130.8度深さ11kmを震源とした、
震度7、M6.5の地震が熊本県で発生した。いわゆる内陸直下型地震。
熊本地震が発生する以前、福岡の警固(けご)断層や
兵庫県の山崎断層で、震度1に満たないような地震が頻発していた。
「断層が動く」「割れる」「ずれる」というのは、
どこかから力が加わらなければ起こらない。
熊本の1mのちいさな断層の話ばかりをTVは報じているが、
その背景に何があるのかが重要。
台湾-琉球諸島-西日本-中部日本-東日本の一部の位置するユーラシアプレートと、
その下にもぐり込んで圧縮しているフィリピン海プレートは、
日本列島を南から北に押している。
【要点】
「台湾から-沖縄-西日本-東京湾まで」はステージ3以降が必ず起きる。
「東日本」ではステージ4以降が必ず起きる。
ステージ1:
フィリピン海プレートや太平洋プレートが、ユーラシアプレートや北米プレートに沈み込み、その圧力でユーラシアプレートや北米プレートが割れ、内陸直下型地震が生じる。兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)などがこれにあたる。このときのマグニチュードはM7.2で、日本では5年に3回程度起きる地震である。兵庫南部地震の場合、神戸という大都市直下で地震が発生したため、マグニチュードに比して震度が大きく、建物の倒壊などの被害相次いだ。
ステージ2:
ユーラシアプレートや北米プレートにあるマグマ溜まりが圧縮されて火山が噴火する。口永良部島、桜島、阿蘇山などがこの例である。この段階の火山噴火はマグマ溜まりにあるマグマが噴出してしまえば一段落するので、それ以上大きくはならない。2009年から現在まで続く九州各地の火山がこれにあたる。
ステージ3:
ユーラシアプレートや北米プレートが耐えかねて跳ね上がり巨大なプレート型(海溝型)地震が発生する。その前にステージ1のように内陸直下型地震が起きることがある。今回の熊本の地震は、おそらくこれにあたり、現在の状況は「ステージ3の始まり」の段階。
ステージ4:
プレート間の摩擦が減少したため、従来よりも数倍の速い速度で太平洋プレートやフィリピン海プレートが北米プレートやユーラシアプレートの下にもぐり込み、ふたつのことが引き起こされる。ひとつは、もぐり込んだプレートが溶けてマグマとなり、火山の巨大噴火を引き起こすことだ。もうひとつは、沈み込むプレートの速度が速くなり過ぎて、太平洋プレートやフィリピン海プレートがちぎれて(正断層)、再び海底でアウターライズ型地震(再度、大きな地震が発生すること)が発生すること。
今回のもうひとつの留意点は、4月14日前後に、日本だけではなく、環太平洋=フィリピン海プレートとインド・オーストラリアプレート境のフィリピン海、太平洋プレートとインド・オーストラリアプレート境のバヌアツ、太平洋プレートと北米プレート境のカムチャッカ半島でも大規模な地震が起きていることである。
●熊本の地震は南海トラフの前兆のひとつ
熊本の地震は「南海トラフ」の前兆のひとつに過ぎない。
南海トラフは、予想として2年後、長くて5年後に来る。
東京オリンピックができれば幸い。
その根拠は、西日本全体がX字状に割れて(日本海側まで)きており、
火山爆発の多くが済んだ。その観測データーから明確。
熊本と鹿児島の県境 川内あたりは、
実は最も地震の多い土地。
=毎日の気象台が出している地震情報を丹念に見れば解ること
●南海トラフは日本の大都市を壊滅する
フィリピンプレートが押している南海トラフは、
「台湾」から「東京湾」の入り口まで。
東京、名古屋、大阪の避難経路は壊滅。
被災を免れても原発事故による放射能汚染のなかに閉じ込められる。
大阪の8割が水没する。(東京はもっと酷い)
大阪の市街地(きた・みなみ・地下街)は全滅。
縄文から江戸時代まで大阪の大半は海(河内湾)だった。埋立地。
京都‐大阪間の地下には水溜りがあるので地盤は弱い。
京都は地震による家屋倒壊などは大丈夫だが火事が怖い。
●南海トラフの巨大さ
「南海トラフ」=M8以上
阪神大震災はM7.4。ステージ1に過ぎない。
M7レベルの地震は5年に3回起きている珍しくない地震。
東日本大地震はM9(海の中で起きた直下型の9ではない)
関東大震災はM8未満。
エネルギーの差は
M7とM8では33倍
M7とM9では1000倍違う。
日本で最も災害の少ない県は岡山県
しかし、移住も地盤が液状化しにくい土地でなければ、
意味がない。
↑凸↓凹は全部活断層。 オレンジラインは中央構造線。
琵琶湖の底にたまった粘土が伊賀上野にあり、徐々にプレートの力が加わって
新しい粘土が押し出すように北の方にたまり、琵琶湖が駿河の方に割れていずれ湾になる。
赤=高い 青=低い 大阪は、青から緑の所まで、南海トラフで確実に水没する。
●環太平洋で地震が起こっている
17日午前8時59分頃、南米・エクアドルの太平洋沿岸を震源とする
マグニチュード7.8の地震が発生。
20日午前1時17分、フィリピン南部地域ダバオ・オリエンタル州の
東北16キロの地点でマグニチュード5.0の地震が発生。
環太平洋地域は、歴史的になんども巨大地震によって壊滅している。
文明の蓄積ができない地域。
日本列島から文明が消えることもあり得る。
土壌調査によって九州から人間が消えた時代もあったことが解っている。
現在の人口は1億2700万(江戸時代は3400万)臨海部に集中し、
ひとたび地震が起きれば大災害になる。
TPPは、環太平洋の経済的収奪。なぜか地震災害エリアと同期している。
自給率40%の先進国は日本と韓国くらいであるが、さらに低下する。
湾岸地帯につくられた工業地帯が壊滅すれば、
食料を輸入する金が得られない。
タックスヘイブンを利用するようなグローバルエリートは、
「自民党改憲草案」22条にあるように、
"公共の福祉に反しようが反しまいが"おかまいなく、
日本を離れるだろう。
チリ地震津波災害が大船渡を襲ったように、
東日本大地震のあとハワイ、カナダ、アメリカ太平洋沿岸で、
ボールや大漁旗、舟など、様々な漂着物が流れ着いた。
もちろん、それ以前に、微小な放射性物質は、
早々に環太平洋中を汚染しているはずである。
※各地の地盤データと地震予測
地盤のリスクや大地震の発生確率が、
ここで 町ごとにわかります。
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川や海を埋め立てて、あるいは地下水の状況を無視して、
高度成長期の都市開発がおこなわれ、都市ができ家が建てられましたが、
地震の際の揺れ易さ、被災状況は、
その家の建っている地盤に影響を受けます。
震災で残るのは地盤のしっかりした土地に建っていた家です。
↑サイトで、自分の住む町のリスクを調べることができます。
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南海トラフ巨大地震は2~5年後に来る=大都市壊滅
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