朝日新聞の南彰記者が10月末日をもって朝日を辞めるのだそうです。
南記者の前途を祝して、本日は私の一番のお気に入りの南彰記者の記者質問をご紹介します。
なんと言っても、これですね。
2017年8月8日の菅官房長官定例会見。
「ガースー vs 朝日のミナミ記者」の対決。
最終ラウンド残り3秒、南記者が、見事にガースーにカウンターパンチを入れました。
ーーーーーーー
①2015年4月2日
今治市職員と加計関係者が官邸に呼ばれ、柳瀬唯夫首相秘書官に会った。
②2015年6月4日
今治市は国家戦略特区での獣医学部新設を提案。
③2015年6月5日
内閣府は愛媛県と今治市に対する国家戦略特区WGヒアリングを開催。
加計学園も同席し発言していた。
④2015年6月30日
獣医学部新設に関わる4条件を閣議決定。
⑤2015年12月15日
今治市は広島県と抱き合わせで国家戦略特区指定を受けた。
(広島県・愛媛県今治市 - 観光・教育・創業などの国際交流・ビッグデータ活用特区)
新たに問題となったのは、③である。
ヒアリングに提案者の県と市以外に加計学園も参加し発言していたのだ。
加計問題が加熱する中、政府は、WGの議事内容は「すべて公開し、透明性が高い」「一点の曇りもない」と説明していたが、
朝日新聞が、2017年8月6日、この政府の説明を翻すスクープ記事↓を打った。
加計側出席・発言、記載なし 2015年6月の特区WG議事要旨
朝日新聞 2017年8月6日05時00分
https://web.archive.org/web/20170806150136/https://www.asahi.com/articles/DA3S13074457.html
” 政府の国家戦略特区ワーキンググループ(WG、八田達夫座長)が2015年6月、獣医学部の新設提案について愛媛県と同県今治市からヒアリングした際、内閣府が公表した議事要旨の出席者に記載のない学校法人・加計(かけ)学園の幹部が同席していた。学園の教員確保の見通しをめぐる質疑もあったというが、議事要旨に記…”
このような内容の朝日新聞のスクープ記事に対し、即日、政府側は、WG八田達夫座長の署名入り、問合せ先 内閣府地方創生推進事務局 TEL 03-5510-2151として、
「国家戦略特区WG(平成27年6月5日)の議事要旨について」(2017年8月6日)
という説明の文書を発表。
翌日の8月7日には、八田達夫座長は記者会見を行なった。
加計関係者発言の速記録「存在しない」特区WGで内閣府
朝日新聞 2017年8月7日
”政府の国家戦略特区ワーキンググループ(WG、八田達夫座長)が開いたヒアリングに同席していた学校法人・加計(かけ)学園の幹部らの発言が、公表された議事要旨に記載されなかった問題で、WGは7日、今後公表する詳細な議事録においても、同学園側の発言は「公式発言ではない」として掲載しない方針だと明らかにした。ヒアリングの速記録は作成されたというが、内閣府は「用済みになったので、今は存在しない」としている。
ヒアリングでの学園側の発言は、政府の公式記録としては一切残らないことになる。安倍晋三首相は「特区WGの議論はすべてオープンになっている」と語ってきたが、2年前の政府と学園側のやりとりは、将来にわたって検証できなくなる可能性が強まった。
獣医学部の新設提案をめぐっては、2015年6月にWGが愛媛県と同県今治市からヒアリングした際、加計学園の幹部ら3人が同席していた。複数の出席者によると、教員確保の見通しなどについて学園側と質疑が交わされたというが、今年3月に公表された議事要旨には載っていない。
八田氏とWGの原英史委員は7日、この問題を受けて記者会見。同学園関係者は、提案者である今治市の判断で同席した「説明補助者」だったとし、発言を載せなかった理由について「説明補助者は通常、参加者として扱っていない」(原氏)と説明した。”
そして、8月8日のこの「ガースー vs 朝日のミナミ記者」の対決となったのだ。
2017年8月8日 午前 内閣官房長官記者会見
南 記者:
歴代のとくに保守の政治家は、歴史的検証に耐えられるようにということで、公文書管理ということはかなり力を入れてこられたと思うんですけども。
そのなかでですね、ある政治家の本では、「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料で、その作成を怠ったことは国民への背信行為だ。」と、そういうことをおっしゃっている政治家もいるのですが、これを本に記されていたのはどなたか、官房長官はご存知ですか?
菅官房長官:
知りません。
南 記者:
これ、官房長官の著作に書かれているのですが。
かつて、2012年に書かれた著作に表明された見解と、いま政府で起きているところと照らし合わせて、忸怩たる思いとか、「やはりきちんと記録に残すべきだ」とそういうお考えにはならないんでしょうか?
ーーーーーーーーーーーーーーーー
南 彰 MINAMI Akira
@MINAMIAKIRA55
【ご報告】
このたび、朝日新聞を10月いっぱいで卒業し、沖縄で記者をすることにしました。すでに退職届を提出し、準備が整い次第、沖縄に拠点を移す予定です。
「地域」「市民・読者」にねざすという原点に立ち返って、市民社会の幹を太くするような報道にとりくんでいきたいと考えています。
午後1:27 · 2023年7月17日
南 彰 MINAMI Akira
@MINAMIAKIRA55
近年、権力や富、情報が一部に集中し、報道も「国益」が幅をきかせ、中央目線で「消費するニュース」に傾きつつあると感じていたからです。それに流されず、次世代により良い社会やジャーナリズムの環境を残していくには、いま自分の軸足をどこに置くのがよいかを考えた末の選択でした。
南 彰 MINAMI Akira
@MINAMIAKIRA55
所属先は、言論の自由を勝ち取ってきた歴史があり、「私たちの前には読者がいる」「市民の小さな声をすくい上げる役割を背負っている」と幹部の姿勢が明確な新聞社を考えています。編集トップが女性で、管理職の女性割合が全国紙より2、3倍高い組織でやっていきたいと思います。
南 彰 MINAMI Akira
@MINAMIAKIRA55
退職届を提出したのは、検察幹部との賭け麻雀問題などを受け、3年前に「ジャーナリズム信頼回復のための提言」を各報道機関に送付した7月10日に合わせました。あのときの気持ちを忘れず、取り組みを続けていく決意を込めました。
note.com
ジャーナリズム信頼回復のための6つの提言|「ジャーナリズム信頼回復のための提言」チーム
今年5月に発覚した新聞記者と東京高検検事長の「賭け麻雀」を受け、日本のジャーナリズムに厳しい視線が注がれています。今回の問題は「関係者を処分すれば終わり」という単独の問題ではなく、日本メディアの職業文化に深く根ざしたもので、近年メディア不信を招いている記者会見の形骸化や、取材中の記者へのセクシュアルハラスメントなどにも通じる問題です。このため、取材者・研究者の立場から、取材現場の経験ならび...
https://note.com/journalism2020/n/n3b4c1e0648e0
南 彰 MINAMI Akira
@MINAMIAKIRA55
信頼する仲間にも恵まれた会社を離れることは苦しく、最後まで悩みました。素晴らしい読者に支えられ、朝日新聞に期待されている社会的な役割が存在することもよくわかります。市民の信頼を回復し、志を持つメンバーが活躍できる環境づくりを、ライフワークとしてサポートしていきたいと思います。
南 彰 MINAMI Akira
@MINAMIAKIRA55
この写真の鉄塔の下には、願いごとを書いたカードがあります。10年後、そのことが実現できるように、頑張っていきたいとおもいます。今後ともよろしくおねがいいたします。
#nextgeneration
画像
南記者の前途を祝して、本日は私の一番のお気に入りの南彰記者の記者質問をご紹介します。
なんと言っても、これですね。
2017年8月8日の菅官房長官定例会見。
「ガースー vs 朝日のミナミ記者」の対決。
最終ラウンド残り3秒、南記者が、見事にガースーにカウンターパンチを入れました。
ーーーーーーー
①2015年4月2日
今治市職員と加計関係者が官邸に呼ばれ、柳瀬唯夫首相秘書官に会った。
②2015年6月4日
今治市は国家戦略特区での獣医学部新設を提案。
③2015年6月5日
内閣府は愛媛県と今治市に対する国家戦略特区WGヒアリングを開催。
加計学園も同席し発言していた。
④2015年6月30日
獣医学部新設に関わる4条件を閣議決定。
⑤2015年12月15日
今治市は広島県と抱き合わせで国家戦略特区指定を受けた。
(広島県・愛媛県今治市 - 観光・教育・創業などの国際交流・ビッグデータ活用特区)
新たに問題となったのは、③である。
ヒアリングに提案者の県と市以外に加計学園も参加し発言していたのだ。
加計問題が加熱する中、政府は、WGの議事内容は「すべて公開し、透明性が高い」「一点の曇りもない」と説明していたが、
朝日新聞が、2017年8月6日、この政府の説明を翻すスクープ記事↓を打った。
加計側出席・発言、記載なし 2015年6月の特区WG議事要旨
朝日新聞 2017年8月6日05時00分
https://web.archive.org/web/20170806150136/https://www.asahi.com/articles/DA3S13074457.html
” 政府の国家戦略特区ワーキンググループ(WG、八田達夫座長)が2015年6月、獣医学部の新設提案について愛媛県と同県今治市からヒアリングした際、内閣府が公表した議事要旨の出席者に記載のない学校法人・加計(かけ)学園の幹部が同席していた。学園の教員確保の見通しをめぐる質疑もあったというが、議事要旨に記…”
このような内容の朝日新聞のスクープ記事に対し、即日、政府側は、WG八田達夫座長の署名入り、問合せ先 内閣府地方創生推進事務局 TEL 03-5510-2151として、
「国家戦略特区WG(平成27年6月5日)の議事要旨について」(2017年8月6日)
という説明の文書を発表。
翌日の8月7日には、八田達夫座長は記者会見を行なった。
加計関係者発言の速記録「存在しない」特区WGで内閣府
朝日新聞 2017年8月7日
”政府の国家戦略特区ワーキンググループ(WG、八田達夫座長)が開いたヒアリングに同席していた学校法人・加計(かけ)学園の幹部らの発言が、公表された議事要旨に記載されなかった問題で、WGは7日、今後公表する詳細な議事録においても、同学園側の発言は「公式発言ではない」として掲載しない方針だと明らかにした。ヒアリングの速記録は作成されたというが、内閣府は「用済みになったので、今は存在しない」としている。
ヒアリングでの学園側の発言は、政府の公式記録としては一切残らないことになる。安倍晋三首相は「特区WGの議論はすべてオープンになっている」と語ってきたが、2年前の政府と学園側のやりとりは、将来にわたって検証できなくなる可能性が強まった。
獣医学部の新設提案をめぐっては、2015年6月にWGが愛媛県と同県今治市からヒアリングした際、加計学園の幹部ら3人が同席していた。複数の出席者によると、教員確保の見通しなどについて学園側と質疑が交わされたというが、今年3月に公表された議事要旨には載っていない。
八田氏とWGの原英史委員は7日、この問題を受けて記者会見。同学園関係者は、提案者である今治市の判断で同席した「説明補助者」だったとし、発言を載せなかった理由について「説明補助者は通常、参加者として扱っていない」(原氏)と説明した。”
そして、8月8日のこの「ガースー vs 朝日のミナミ記者」の対決となったのだ。
2017年8月8日 午前 内閣官房長官記者会見
南 記者:
歴代のとくに保守の政治家は、歴史的検証に耐えられるようにということで、公文書管理ということはかなり力を入れてこられたと思うんですけども。
そのなかでですね、ある政治家の本では、「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料で、その作成を怠ったことは国民への背信行為だ。」と、そういうことをおっしゃっている政治家もいるのですが、これを本に記されていたのはどなたか、官房長官はご存知ですか?
菅官房長官:
知りません。
南 記者:
これ、官房長官の著作に書かれているのですが。
かつて、2012年に書かれた著作に表明された見解と、いま政府で起きているところと照らし合わせて、忸怩たる思いとか、「やはりきちんと記録に残すべきだ」とそういうお考えにはならないんでしょうか?
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南 彰 MINAMI Akira
@MINAMIAKIRA55
【ご報告】
このたび、朝日新聞を10月いっぱいで卒業し、沖縄で記者をすることにしました。すでに退職届を提出し、準備が整い次第、沖縄に拠点を移す予定です。
「地域」「市民・読者」にねざすという原点に立ち返って、市民社会の幹を太くするような報道にとりくんでいきたいと考えています。
午後1:27 · 2023年7月17日
南 彰 MINAMI Akira
@MINAMIAKIRA55
近年、権力や富、情報が一部に集中し、報道も「国益」が幅をきかせ、中央目線で「消費するニュース」に傾きつつあると感じていたからです。それに流されず、次世代により良い社会やジャーナリズムの環境を残していくには、いま自分の軸足をどこに置くのがよいかを考えた末の選択でした。
南 彰 MINAMI Akira
@MINAMIAKIRA55
所属先は、言論の自由を勝ち取ってきた歴史があり、「私たちの前には読者がいる」「市民の小さな声をすくい上げる役割を背負っている」と幹部の姿勢が明確な新聞社を考えています。編集トップが女性で、管理職の女性割合が全国紙より2、3倍高い組織でやっていきたいと思います。
南 彰 MINAMI Akira
@MINAMIAKIRA55
退職届を提出したのは、検察幹部との賭け麻雀問題などを受け、3年前に「ジャーナリズム信頼回復のための提言」を各報道機関に送付した7月10日に合わせました。あのときの気持ちを忘れず、取り組みを続けていく決意を込めました。
note.com
ジャーナリズム信頼回復のための6つの提言|「ジャーナリズム信頼回復のための提言」チーム
今年5月に発覚した新聞記者と東京高検検事長の「賭け麻雀」を受け、日本のジャーナリズムに厳しい視線が注がれています。今回の問題は「関係者を処分すれば終わり」という単独の問題ではなく、日本メディアの職業文化に深く根ざしたもので、近年メディア不信を招いている記者会見の形骸化や、取材中の記者へのセクシュアルハラスメントなどにも通じる問題です。このため、取材者・研究者の立場から、取材現場の経験ならび...
https://note.com/journalism2020/n/n3b4c1e0648e0
南 彰 MINAMI Akira
@MINAMIAKIRA55
信頼する仲間にも恵まれた会社を離れることは苦しく、最後まで悩みました。素晴らしい読者に支えられ、朝日新聞に期待されている社会的な役割が存在することもよくわかります。市民の信頼を回復し、志を持つメンバーが活躍できる環境づくりを、ライフワークとしてサポートしていきたいと思います。
南 彰 MINAMI Akira
@MINAMIAKIRA55
この写真の鉄塔の下には、願いごとを書いたカードがあります。10年後、そのことが実現できるように、頑張っていきたいとおもいます。今後ともよろしくおねがいいたします。
#nextgeneration
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