石井紘基『日本病の正体』(FNSドキュメンタリー大賞)
Never Say Die Spirit 石井紘基
山岡俊介@yama03024
添付は10月26日「東京新聞」朝刊。右翼に刺殺されたが、その死は謎が多く虎の尾を踏んでの暗殺説も。同記事でも娘のターニャ氏は石井氏の残した膨大な資料を電子化すべくクラウドファンディングで資金募るとしていたが、その認可が突如却下されたそうだ。圧力説が出ている。

午後7:39 · 2022年10月30日·Twitter Web App
国会の「追及王」没後20年に思う
「『先生』がいたら旧統一教会の問題も起こらなかっただろう」
AERA dot.筆者:今西憲之 2022/10/27
https://dot.asahi.com/dot/2022102700031.html?page=1
” 2002年10月25日。「午前10時30分に石井議員が自宅前で右翼団体の代表に襲われ、亡くなった」との一報を聞いた時、筆者の頭の中は真っ白になった。
石井氏とは取材を通じてつき合いも長く、いろいろな情報について取材のポイントまでレクチャーをしてくれるなど、指導してもらった。
石井氏は当時、民主党所属で3期目だった。党内の有志を募り、「国会Gメン」を結成し、日本の利権構造など「政治とカネ」の問題に鋭く切り込んだ。国会での追及は、官僚主導の政治のあり方や国家財政にも及んだ。
一般会計の裏に300兆円もの「特別会計」が存在して浪費されているとして、
「この問題は人生をかけてやる。このままでは日本はダメになる」と筆者にも語っていた。
そして、石井氏がもう一つ、力を入れていたのが、旧統一教会(現、世界平和統一家庭連合)やオウム真理教の問題だった。
石井氏と生前から親しく、全国霊感商法対策弁護士連絡会で家庭連合の被害者救済に取り組む紀藤正樹弁護士は、
「石井さんが今も生きていれば、現在のような旧統一教会の問題は起こらなかったかもしれない。本当に残念だ」と話す。
石井氏は、1996年4月22日、国会で統一教会について質問していた。”
”この質問をサポートしたのが、紀藤弁護士だった。
「弁護士になってまだ5年くらいの時でした。石井氏から電話をいただき、霊感商法について聞きたいという。私が、議員会館に行きますよ、と伝えると『そちらにうかがいますから』と。こんな腰の軽い国会議員がいるんだという印象でした。石井氏は、霊感商法に関する分厚い資料を、私の事務所でずっと読み込んでいました。その姿を思い出します」
石井氏の統一教会への追及を近くで見ていた人がもう一人いる。
石井氏の元秘書で、現在は兵庫県明石市長の泉房穂氏だ。泉氏は、石井氏の著書を読み、手紙を書いたことがきっかけで秘書になった。その後は石井氏の自宅近くに引っ越して、仕えたという。
「石井先生は、自分ひとりでも巨悪に立ち向かう、という方でした。統一教会の霊感商法でも、これでもか、とばかりに調査して、国会質問となると、相手からどう答弁を引き出すか徹底的に研究しておられました。石井先生が、志半ばでこの世を去るようなことがなく統一教会を追及していれば、自民党も怖くなってここまでズブズブの関係になることはなかったように思います。残念でなりません」
泉氏がそう振り返る。
石井氏は、自身の選挙区に、オウム真理教の施設が建設されようとしている情報をつかんだ。泉氏がその時の様子をこう話していた。
「住民が不安がっている。役所も政治家も知っているのに動かない。石井先生は『市民が困っているのを見て政治家が動かないというのは、日本の国が終わりということだ。それなら、自分で動いて反対運動をするぞ』と立ち上がった」
後にオウム真理教の施設は撤退を余儀なくされた。
石井氏は生前、統一教会について、筆者にこう話したことがある。
「オウム真理教は、殺人をも肯定する凶暴さ。統一教会は、教義、布教よりまずはカネもうけ。手法が実に巧妙でマニュアル化されており、オウム真理教よりもずっとやっかいだ。特に政治、自民党とつながっており、役所も遠慮がある。何か言うと、自民党の議員が出てくるからだ。そういうことを許してはいけない。統一教会とはもっと長い戦いになると感じるね」
石井氏は生前、段ボール箱で数百となる資料を残していた。大半が紙の資料で、筆者は石井氏の自宅に20日以上通い詰め、部屋に積まれていた段ボールを開けてチェックしたことがあった。石井氏が追及していた「道路公団」や「郵便局」の“闇”を探る資料には、うなるものがあった。
そういった大量の資料をデータ化する「石井紘基資料データベース化企画」がスタートする。そのなかには、旧統一教会についての詳細な資料も残っているはずだ。
今年10月25日、参議院議員会館で「石井紘基没後20年を偲ぶ会」が開かれた。与野党の国会議員らが訪れ、石井氏をしのんだ。
石井氏の長女、ターニャさんは、データベース化企画について、
「クラウドファンディングで広く募って進めたいです。データ化ができたら広く公開できないかと考えています。今も資料が役立つであろうことを、父も喜んでくれているはず」と期待を口にした。”
国会議事録 石井紘基
第136回国会 衆議院 商工委員会 第9号 平成8年(1996年)4月22日
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=113604461X00919960422¤t=1
○自見委員長代理 次に、石井紘基君。
○石井(紘)委員 統一教会による霊感商法というのは大変被害件数も多くて、社会的な大きな問題になっております。たくさん事件、事例があるのですが、そのうちの一つ、二つを簡単に紹介してみたいと思います。
九五年一月十九日午後、統一教会の信者である中村朋子さんという人が、渋谷東急本店前の路上で通行人であるAさんにこういうふうに語りかけた。「最近、何かよいことがありましたか。額に心眼相が出ていますよ」と声をかけた。そこに鈴木麻理子さんという、偶然を装ってこの人が合流して、三軒茶屋にある、これは私の選挙区でありますが、そこのライオンズマンション二〇一号室に誘い込んで、同所で三時間にわたって、右両名でこのAさんという人にこのようなことを言った。「先祖の因縁のため、このままでは大変なことになります。転換期をよい方向に向けるため、善は急げです」というふうに執拗に迫って、ひすいの念珠、数珠ですね、これの代金名下に金四十一万二千円を支払わせた。この形式上の売り主は、これは会社なんだと思いますが、白寿堂であった。さらに右両名は、「もっと偉い、日本でも数少ない家系図鑑定の先生が特別に見てくれるそうですから」などと、再三右ライオンズマンション二〇一号室に誘い込んで、山田先生と称する信者において家系図をもとにAさんを畏怖せしめ、よって二月二十四日、先祖の霊界解放式をしてみせた上で写経・物資の行、心の行を迫り、よって献金名下に金七十万円を支払わせた。さらに二月二十四日から、心の行として世田谷フォーラムに通わせながら、再三印鑑の購入を迫り、右鈴木、中村に希いて右ライオンズマンション二〇一号室で印鑑三本セットの代金名下に金十二万五千円を支払わせた一日寿堂というのが形式上の売り主であるというのが一つの例。
あるいは、たくさんの中からもう一つだけ申し上げますと、九五年十一月二十七日午後三時ごろ、統一教会信者前田みゆきは、表参道駅前路上で、通りかかったBさんという人に、「ちょっと済みません。転換期ですね。何かよいことがありましたか。はっきり心眼相が出ていますよ」と声をかけ、右前田の話を気にかけたBさんを、十一月二十九日、三軒茶屋のライオンズマンション二〇一に誘い込み、同所で約四時間にわたって、右前田が姓名判断の鑑定士、鈴木が助手役として同席し、前田においてBさんに対し、「絶家の家系ですね。色情因縁の相が出ています。そのためにあなたも兄弟を早く亡くし、御主人も兄弟に恵まれなかった。あなたが両家を支えていく使命がありますね。転換期をよい方向に向けるため、善は急げです」などと述べた上、「出家する気持ちで修行を積みましょう。お金がかかります。四十日間初水行をしてください。四十万、七十万、百二十万の念珠のどれか、授かるといいですね」などと告知して執拗に購入を迫り、よってひすいの念珠の代金名下に金七十二万一千円を支払わせた。これも、売り主は形式上白寿堂。さらに右前田は、「もっと偉い、日本でも数少ない家系図鑑定の先生が特別に見てくださるそうですから」などとして、右ライオンズマンション二〇一号室に誘い込み、山田先生と称する信者において家系図をもとにBさんを畏怖せしめ、よってさらにBさんに出捐を迫ったものである。こういうようなものは、これは何日かかっても挙げ足りないぐらい、膨大にこういう事件があるわけであります。
この手法を見てみますと、好意的に見ても、これは路上で布教といういわば宗教活動ですか、私はこれは宗教活動ではなくて商売だと思うのですが、そういうことでもって、「心眼相が出ている」とかなんとか言って誘い込む。それで、もちろんこれは布教ではないですから、そのときは宗教団体の名称も何にも告知しません。そしてあるところへ連れてくる。そこで正体を隠したまま、指輪を買いなさいとか、数珠を買いなさいとか、つぼを買いなさいとか、そういうようなことをやって買わせる。
これの一つの問題は、この路上で誘い込むのと、こっちの店だかマンションの部屋の中で、室内で売るのと、これは一つの行為、一体の販売行為なんですね。だからこそ、これは訪販法の範疇になるわけです。
そうすると、どうやって誘い込んだのか。これはちょっとしたうそとか誘いの言葉とかと違うのです。これは宗教的な勧誘の仕方で、しかもこれは宗教団体と言われるものがやっているわけですから、しかも同じような語り文句で誘い込んでいるわけですから、まあ商売用のマニュアルというようなものがあって、それに基づいて誘い込んで売っているわけですから。
先般も宗教法人法の改正がなされましたけれども、宗教活動と仮にしても、この宗教活動というものと商行為というものとは、これは帳簿も分けて、経理も別にするわけですね。祈祷料だとかお布施だとかそういうものは別として、営利を目的とする分野についてはそういうふうにしてちゃんと税金も納めなければいかぬ、こういうふうになっているわけです。
これを一体として、宗教的なものの布教活動めいたものと、物を売りつけるという行為とを一緒くたにしてしまって、しかも正体を明かさない。それで、ずっと何カ月か長いこと物を買わせたりなんかして、借金をさせたり、そうやっていくうちに、実は何々教会ですということをわからせる。そうすると、もう借金もできてしまっていますから、今度はまた、借金返済というよりも労務の提供というような形で、自分も同じような勧誘販売をするということになるわけです。
ここにはそういう不告知の問題と、それから宗教との問題、混然一体となった販売活動という問題と、それからまた連鎖商法という問題があるわけですが、まあ順次ひとつ、連鎖商法の部分はいいですから、その前に言った二つの点について見解を聞きたいと思います。
○大宮政府委員 それではお答えいたします。
今先生から御指摘がありましたのはいわゆる霊感商法というものでございますが、これについてはいろいろなパターンがございまして、必ずしも明確な定義がないわけでございます。例えば、先祖のたたりで不幸になりますよといったようなことを言いまして消費者の不安をあおって、高額な印鑑とか数珠等の販売を行うような商法を一般的に言うのではないかというふうに理解しておりますけれども、実は、こういったものにつきましても、国民生活センターに寄せられた相談件数は平成六年度において一千件を超えておるわけでございます。
このような販売活動のうち、いわゆる訪問販売法に規定されております訪問販売等の契約で行われる場合、今先生の御指摘あったケース、これは具体的なケースを詳細にお伺いしないと正確には言えないわけでございますけれども、例えば、いわゆる路上でアンケート調査をしてくださいと言ってお店へ連れ込んで物を売る、これをキャッチセールスと言っておりますけれども、それに類似するものでございまして、そういったものは形態が訪問販売法に該当すれば、しかも商品が訪問販売法の指定商品に該当するものについては、宗教法人であろうとそうでなかろうと、販売活動を行う場合は訪問販売法の規制対象として書面の交付、クーリングオフ等の消費者保護措置の適用があるところでございまして、当然そういった買わされた方は書面交付、クーリングオフの権利があるということでございます。
いずれにしましても、この布教活動と勧誘行為と非常に難しい問題でございますけれども、今後とも関係行政機関とも密接に連携をしながら訪問販売法の厳格な運用を行いまして、被害者救済に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○石井(紘)委員 いずれにしても、さっき言いましたように不実なのですから、実際誘うときには宗教のことをかたっているわけですから。そして連れてきて、そしてそこで売るわけですが、それはただ単なる、私の友達がちょっと印鑑を売っているんだけれども、いい物だから見に行って買わないかとか、あるいはちょっとお茶飲みに寄ってみないかとかいうのとは全然違うのでありまして、これ一体が一つの商行為なのですね。販売行為なのです。
ですから、そういう宗教めいたことでもって、何か心眼相があらわれているから、あるいは色情がどうだこうだとか言って、そして誘ってきて売るというのは、これは目的不告知であり、不実であるということではないのですか。
○大宮政府委員 まず、今先生から御指摘あった点でございますけれども、先ほど申し上げましたように、訪問販売法の対象商品、例えば先ほどお話ししました印鑑とか数珠とかつぼなどは、これは訪問販売法の指定商品になっておりまして、当然そういうものをいわゆるキャッチセールス的な方法で売れば、これは訪問販売法の規制の対象になるということでございます。
それから、宗教、布教と一体になって行った場合にそれが不実の告知に当たるかどうかということでございますけれども、一般的に事業者がキャッチセールスを行う場合でありましても、売買契約の締結について勧誘を行うため、路上において威迫困惑、不実の告知等を行えば取り締まりの対象となるものでございます。宗教活動に伴って行われる売買活動については、どの時点からが売買契約の締結についての勧誘であるのか、また何が不実であるのか、必ずしも明確でないわけでございます。したがって、取り締まりは非常に難しい現状にはございますけれども、法の目的等踏まえ、適切に対応していきたい、こういうふうに考えております。
それから、これは訪問販売法の問題ももちろんございますけれども、基本的に、例えば民法上の問題あるいは刑法上の問題もございます。例えば詐欺あるいは脅迫といったものであれば、民法では取り消しができますし、それから、今言ったようなことで、刑法上でも詐欺罪、脅迫罪の刑事的責任が問われることもあるのではないか、こういうふうに考えております。
○石井(紘)委員 この印鑑はいい印鑑ですよと言って売るのではないのですよ。このつぼは何か秘伝のものですよとか、芸術的な価値の高いものですよとか言って売るのではないのですよ。あなたの相にはどんな相があらわれているとか、先祖がどうだからと言ってそれを買わせるのですよ。これは不実の告知ではないのですか。そういう、適切に対処したいとかいうのではだめですよ。
○大宮政府委員 ただいま御指摘のありましたように、いわゆる宗教活動とか布教活動というのは、今先生御指摘になったような要素を常に含んでいるケースがございまして、私どもも先ほど申し上げましたように、ケース・バイ・ケースで不実の告知になる場合もあるしそうでない場合もあり得るのではないかと。一般的には、おっしゃるようにそういう場合には不実の告知ではないかと思うのでございますけれども、これはやはり最終的には司法当局においていろいろな状況を判断して解釈されることになるのではないか、こういうふうに考えております。
○石井(紘)委員 誘い込んだときには全然違うことを言っておいて、連れてきてその場でというと、そこは室内に連れてくる、オフィスに連れてくる、あるいは店舗に連れてくるわけですから、そうすると、そこでのやりとりだけだということになればこれは訪販法は関係ないのですよ。訪販法というのは外で客を引っ張ってきてやるから、だからここで何を言ったか、どういう約束で来たのか、どういう理解がそこで生じたのかというようなことが一つの、一体となった販売行為なのですよ。そのような答弁ではちょっとこれは、大分この法律というのはまだまだ問題が多いかなというような気がいたします。
以上です。ありがとうございました。