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またもやシリアのアレッポで、
アサド軍のヘリが塩素ガス弾の入った樽爆弾を
投下した疑いがもたれています。
独裁政権というものが、
どのように国民を虐げるのか?
日本でも事実上、2015年7月、
安倍政権によるクーデターが起きていることを
少なからぬ人々が実感されていることでしょう。
現在、地球上で最大最悪の人道危機がシリアで起こっています。
そもそも、樽爆弾自体が、
一般の市民を無差別攻撃するためのもの。
非人道的な使われ方をする爆弾です。
樽やドラム缶に爆薬などを詰めて起爆させる原始的構造の爆弾で、
安く大量に製造できるのだそうです。
これを輸送ヘリから蹴り落とすのです。
樽爆弾は目標に命中させることができません。
殺傷力も高くないため、樽爆弾そのものは国際法では禁じられていませんが、
アサド軍は、これに塩素ガスを入れて、
シリアの一般の市民を無差別に殺傷しているのです。
2016年8月、
国連の安保理の調査チームと化学兵器使用禁止委員会が、
アサド軍が、国際法で禁止されている「塩素ガス攻撃」を
少なくとも2回(↓)行なったことを特定したばかりです。
⬇︎
【アサド軍による塩素ガスを入れた樽爆弾攻撃】
①2014年4月21日シリア北部イドリブ県のタルメネス
②2015年3月16日シリア北部イドリブ県のサルミン
他3回…アサドの化学兵器使用が疑われています。
国際社会が手をこまねいている間に、
アサドとアサドを支援するロシアのシリア市民大虐殺は、
5年間も続き、死者数は、約30万人、
内、民間人約86000人
子供 約15000人とも言われます。
今夜は、 一人のシリア人青年、
ハディ・アブドラのビデオを紹介したいと思います。
ビデオ全編の内容を訳してみました。
かつて、看護師になることを目指していた普通の若者が、
アサド独裁政権に抵抗して、
反政府デモに参加したことを切っ掛けに、
シリア戦争の最前線に身を投じ、
止むに止まれず、虐げられた人々の声を伝え続ける
筋金入りのジャーナリストになっていくリアルストーリーです。
「Dying to Be Heard!
「伝えずにいられない」
「命を賭けてシリアの声を届ける!」 …というタイトルのビデオです。
ハディは、カメラマンとして彼とルポを共にした二人の仲間を失い、
彼自身も瀕死の重傷を負い、瓦礫に埋もれ、
市民救助隊・ホワイトヘルメットの助けで九死に一生を得ました。
それでも彼は、シリアの声を届けるためアレッポに向かいます。
死さえ覚悟したシリア人市民ジャーナリストが伝える
虐げられたシリア人の声は、
あなたの耳に届くでしょうか?
彼を中立ではないと非難しますか?
ハディの報道は偏っていますか?
" PREJUDICE IS IGNORANCE
偏見とは無知なり "
ーBy Michael Jackson from 「Black and White」
Dying to Be Heard: Reporting Syria’s War
伝えずにいられない: シリア戦争ルポ
For the past five years, Hadi Abdullah, 29, has been reporting on the war in Syria and its devastating effects in rebel-held areas. This work has put him and his colleagues in the line of fire.
過去5年間、ハディ・アブドラ 29歳は、シリア戦争を取材し、
反政府軍支配地域の壊滅的な影響をレポートしています。
この仕事は彼と彼の同僚を砲弾(非難)の火中に投げ入れたのです。
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救急車のサイレンの音鳴り響くー
ハディが走っていくー
辺りはもうもうとした煙が立ち込めているー
町は壊滅状態だー
(ハディ)
このとうり、樽爆弾がここに落とされました!
市民の家々の上に!
ほんの数秒前に 落とされました! ゴホゴホ!(咳が止まらない)
シリアの人々は西側の人々に
彼らの声を本当に聞いて欲しいと思っているんだ。
(おじいちゃん)
彼らは無差別に攻撃しているんだ。彼らは手当たり次第に撃っている。
市民、女性、ちいさな女の子、たった3歳の女の子をだ!
(ハディ)
僕がシリアの人々の側に立っているとしたら、僕は偏っているんじゃないかって?
オーケーだ!僕はそれを受け入れるよ。僕は偏っている。しかし僕は人間だ。
そして、僕は虐げられた人々の声を伝えようとしている。
それが僕にとってのジャーナリズムだ。
(ナレーター)
これがハディ・アブドラだ。
(ハディ)
私たちは、これらの虐殺に直面しているのに
世界の沈黙していることに驚きます!
数年前、彼は看護師になるために学んでいた。
シリアで戦争が起った時、彼は別の道を選んだ。
彼は反政府運動に加わり、世界に蜂起のストーリー、
市民の内乱が起きたことを伝えた…
僕は大学では学んでいないかもしれない。
しかし、僕はいつも虐げられた人々、
声なき声にむきあうことを学んできた…
(以下は意訳します)
ハディは、2011年ホムスの反政府デモで出会ったTrad Al Zahouriと
チームを組んだ。
半年間24時間丸一日を共にした仲間だ。
アマチュアカメラマンのトラッドが撮影し、ハディがレポートをした。
ハディは取材中、爆弾の投下で負傷した。
この時、ハディは自分を抱きかかえるトラッドと魂で繋がっていることを感じた。
そのトラッドが死んだ。ハディはうつ病を病んだ。
「うつ病になってしまったことを恥ずかしいとは思わない。
何故なら僕は多くをくぐり抜けてきたんだ。」
だけど、トラッドはハディが泣いてばかりいることを望んではいないと、
仕事に戻る決意をする。
新しいカメラマンは、Khalid Issa。
ハディたちは常に戦場の最前線を取材。
戦場にパソコンを持ち込んだ。
ハディが砲弾を避けてスピードを上げで車を運転し
カハードがビデオをエディターした。
二人は、3月16日激戦地アレッポに入った。
6月彼らは頭の上に爆弾を受け死に直面した。
彼らは故郷の町に帰った。しかしここで彼らは足元を掬われることになる。
家に入ろうとしたとき、カハードはハディの4-5メートル側の後ろにいた。
ハディは自分の下に地雷がある事に気付いた。
ハディは全身を負傷。カハードは死亡した。
彼らは瓦礫に埋もれ、ホワイトヘルメットが救出活動に当たった。
アサド、IS、PKKイラン、ヒズボラ…誰が爆弾を仕掛けたのかは判らない。
ホワイトヘルメットがドリルで瓦礫を壊し、ハディを助け出し車に乗せる。
血だらけで破片にまみれたハディは目を開けカハードを探そうと試みるも
目は開かない。
ハディはトルコの病院に運ばれ、彼の両足は潰れていたが、命は取り止めた。
カハードは、病院に運ばれた数日後に死亡した。
「僕らは一日中一緒にいて、共に食事をし酒を飲み、働いたんだ
全てを共にした。僕の人生の全てに彼が居たんだ。
食事をすればカハードを思い出す、酒を飲めば僕はカハードを思い出す。
ビデオを投稿すればカハードを思い出す。
少なくとも僕は彼にした約束を守らなければならない。
彼の遺志を僕は引き継がなければ、僕は彼を裏切った事になる。
僕が気にかけているのはシリアに起っていることだけ。
そして自分の仕事を続けることだけ。それだけだ。」
ハディは、きついリハビリをしながら、100マイル離れたシリアの
ホワイトヘルメットの活動など重要なレポートや動画をカバーし
翻訳するなどして、SNSを利用しネットに上げている。
「塩素の匂いがする!」化学兵器が使われた可能性がある…
ハディは、2ヶ月ほどのリハビリを経て早期に回復した。
6月からアレッポは、アサド軍、背後にいるロシアによって包囲されている。
「僕は昨日家族にさようならを言ってきた。彼らは心配してるよ。
でも僕はシリアに戻ること、アレッポで何が起っているかを伝えることは
重要なんだと家族を説得したよ。
僕の命はカハードやトラッドの命より貴重だということはない。
彼らは僕と一緒に仕事をしている間に殺されたんだ。
僕は、何も恐れないよ。僕は死も怪我も恐れない
空爆や暗殺も、この世界のどんな恐ろしいことも
僕が生きているのは、シリアの人々の声を
受けて伝えることのためだけなんだ。」
「僕はできる限り続けていくよ。
死さえも僕を止めることはできない。」
ハディは、再び国境を超えてアレッポに向かう…
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Dying to Be Heard (日本語) 〜死も覚悟!シリアの声を伝えるジャーナリスト
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