Quantcast
Channel: ☆Dancing the Dream ☆
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4771

【滅びの時代】Sorry We Missed You 家族を想うとき 〜ケン・ローチ監督作

$
0
0




先日、観た映画。
ケン・ローチ監督の『Sorry We Missed You』

1%の富裕層が99%を踏み敷くといわれる新自由主義社会。
イギリス北部の都市ニューカッスルに暮らす4人家族の物語だ。

ニューカッスルといえば、
サブプライムローン問題により、
住宅金融会社ノーザン・ロックに取り付け騒ぎが起きて、
店の前に人々が列をなしたという。
彼らもそんな庶民の家族だったのだろう。

ターナー一家はリッキーとアビー夫婦と高校生のセブ、妹のライザ。
ターナー家は、マイホームを手に入れたのも束の間、
リーマンショックによる世界的金融危機の煽りを食って、
借家住まいとなり、借金を抱え、負のスパイラルに飲み込まれていく。

リッキーは建設労働者だったが、職を転々とし、
アビーはお年寄りの訪問介護の仕事をしている。
誰もが年をとる。
自分の親だと思って接することを心に決めて働く
アビーの献身的な仕事ぶりは立派だが、きつい仕事だ。

リッキーは再起をかけて宅配ドライバーに転身することを決意した。
しかし、配送センターとの契約は
個人事業主として宅配便の配送を請け負うというもので、
休みなし、保険なし、厳しいノルマが課され、
全て自己責任。休めば罰金が嵩み、拒めば情け容赦なく外される。
馬車馬のように働かされ、何一つ保証がない。
ブラックの極致だ。

夫婦はもう一度マイホームを持つために悪戦苦闘するが、
家族団欒の時間をもつゆとりすらない。
働いて働いて働き疲れて泥のように眠り、また働く。

思春期のセブは、街の至る所の壁にスプレーで落書きをする
グラフィティアートに夢中になっていた。
学校をずる休みしては仲間と街の壁をジャックしていた。
神出鬼没のグラフィティーアートは、
キースヘリングやバスキヤ、バンクシーなどの作品が絶賛される一方で、
社会問題化し、器物破損の取締りの対象となっていたが、
痛烈な社会風刺を込めた彼の大事な自己表現だったのだ。
とうとうセブは画材のスプレー缶を盗んで警察に捕まってしまう。

賢く、ムードメイカーの妹のライザは、
さりげなく家族のお世話をするしっかり者だが、
彼女とてまだ子供。
知らぬ間に心に負担を負い夜尿症になっていた。

この物語のラストシーンは最悪の結末を思わせる。
Sorry We Missed You…
家族を想うとき…父がとった最後の行動は、
あまりにも悲しく、ドンと重い痛みが胸に残る。


これは遠い国の物語ではない。
日本の「働き方」も壊れている。
社会が壊されている。
人間が壊されている。

資本主義社会は断末魔の叫びと共に荒れ狂い、
新たな戦争へ向かうのか?
日本の腐敗を極めた安倍政権は緊張する中東へ自衛隊を送った。

こんなことは間違っている!

ネット空間の仲間たちの声が響き、
リアルな暮らしの仲間たちの声が響き、
自分自身の心の声が響く。









Viewing all articles
Browse latest Browse all 4771

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>